情けない俺  詩 大地 曲 武士

カメラ越し

フィルターの中の君は

いつも輝いて

見つめてしまうと

忘れられなくなりそうで

怖かった

手を伸ばしても

遠すぎて届かない

どうしたら

君に手を

差し伸べられるだろう

君に会いにゆくことは

できないかもしれない

今は遠くから

見つめることしか

君に会いたくて

眠れない夜は

ただひたすら

もがくしかなかった

少しでも近づきたくて

ただもがいた

君の笑顔を

僕のものにしたくって

いつか

いつか君に手を

差し伸べられる日まで

走るよ

君が素敵だから

僕は頑張れる

君がキレイだから

僕は頑張れる

君が笑うから

僕は君を幸せにしたい

そのクリスマスの夜は、小雪舞い散るホワイトクリスマスだった。街のあちこちでツリーがキラキラしていて、あの人に見せてあげたいと、一緒に見たいとそう想いを募らせた。

PM8:30から、「NOW AND THEN」で演奏する事になっていた。少しドレスアップした四人は、クリスマスの夜を彩りたくて、みんなに幸せになってほしくて、念入りに準備をした。普段より大人びた格好の望風に、大地、武士、優理がそっと寄り添う。大地は、この四人でいるときの空気感と居心地が好きだった。

大地がスマホをチェックすると、SNSのDMが届いていた。

れん:グラウンドのゆきだるまに帽子と傘をありがとう。

「れん」という人からだった。大地の目が急速に見開く。れんからだ! 今までずっと心の中でくすぶっていたれんへの気持ちが爆発寸前になる。雪だるまに細工をしたのはれんではないか……、一瞬だけ過った淡い期待は無駄じゃなかった。

大地は一瞬で何年分か老けたように、急に少年が青年になったように、急に自分が男であることを自覚した。この出会いは運命だと思い込んだ。そして勝負にでた。

大地:今夜、NOW AND THENでライブやります。よかったら来ませんか?

   迎えに行けないけど……。