しかし、暑さと猛烈な数の蚊でよく眠れない。翌朝は朝五時半に兵隊さんに起こされる。中隊長さんがコーヒーを我々のベッドまで持ってきてくれる。さわやかな朝の濃くて甘いコーヒーはとてもおいしい。

その後アスンシオンの街の航空会社で、今日のイグアス行きの予約の確認をすると、昨日ブエノスアイレスで予約確認をしていなかったのでキャンセルになっていて、今日の便には乗れないとの回答。

これを横で聞いたTAMの隊長さんが、われわれをヴァリグ航空の事務所に連れて行き、ホテルを用意するように交渉してくれる。しかし、フライトの予約がされていないのだから駄目とつれない返事。まったくトラブルの連続で頭にきたけれど仕方がないので明日のイグアス行きと二十五日で予約していたイグアス→サンパウロ便を二十六日に変更予約する。

結局、このアスンシオンにもう一泊せざるを得なくなった。隊長さんが心配してアスンシオン市内の安ホテルを紹介してくれたが、所持金が心細いので隊長さんには無断で、夕方空港にもどって近くの野原で野宿して、翌朝ようやくイグアスに出発できた。

◆ボリビアとアルゼンチンの国境(写真1)歩いて国境を渡る。向こうに国境の検問所がある。

◆リオデジャネイロ(写真2)シドニー港、ナポリ港とともに世界の三大美港の一つのリオデジャネイロ。市街地に隣接してコパカバーナ、イパネマ、フラミンゴなどの海水浴場があり、水着姿の女性が闊歩しているのは確かに世界中でここしかない。実に美しく楽しい街である。

新しく建設された新首都のブラジリアと比べると、なんと魅力的な街であることか。都市とは人が長い時間をかけて築き上げるものなのだろう。そもそも中南米旅行はこのリオデジャネイロの2月のカーニバルを目指して来たが、実に華やかで開放的なカーニバルで、カーニバル期間中は街のいたるところからサンバが聞こえてくる。カーニバルでは一晩中現地の女性たちのグループと一緒に踊って楽しんだ。

◆イグアスの滝(写真3)アルゼンチン、ブラジル、パラグアイの3ヶ国の国境にあるイグアスの滝。インディオの言葉で「アクア・スー(大きな水)」が語源だそうだが、「悪魔の喉笛」、「花嫁のヴェール」の異名もあるジャングルの中の滝。滝幅4・5km、最大落差は80m。

◆マナウス(写真4)ブラジルのアマゾンのジャングルの中にある自由港のマナウス。河口のベレンからアマゾン川を1600km遡った上流にある。かつては世界一のゴムの輸出地であったように、高温多湿の気候で、耐え難い。ここでは、米国人のDの家に1週間居候させてもらった。

[写真1]ボリビアとアルゼンチンの国境

[写真2]リオデジャネイロ
[写真3]イグアスの滝
[写真4]マナウス
※本記事は、2021年9月刊行の書籍『国境』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。