俳句・短歌 短歌 故郷 2022.06.01 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第109回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 西に梅雨太平洋に高気圧 雷鳴ってスコールの昼 日数追い訪問迄にひと月の 出逢い重力圏内に入り 散歩の夜素顔の見れた神田川 そこの知れないモルダウの様
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『しまなみ海道に消えたミス』 【第5回】 風向 良雄 恋人はいるのに、突如現われた男性へのときめきが止まらない。何かありそうな予感が… テーブルの上には愛媛県の広域観光用のパンフレットがたくさん並んでいる。広域観光企画協議会が結成され観光客誘致のために作成されたもので県内各自治体の自慢を掲載している。その男性は愛媛県の各地のパンフレットを手に取り見ていた。この男性も愛媛に行ってみたいという気持ちになるだろうか。間近に見るその男……おおきい、確かにおおきい。わたしも女としてはおおきいほうであるが、この男はむちゃくちゃおおきくて圧倒…