次に、「意思決定」に関して、No.64からNo.75までの12の原則が示されているので、順に紹介する。

【原則64】:人生の複雑な問題には、明確な正解など存在しない

【原則65】:複雑な意思決定では情報を効果的かつシステマチックに処理する方略が必須である

【原則66】:意思決定の出発点は、問題の存在を認めることである

【原則67】:問題を、何が・いつ・どこで・どのように・なぜ・という観点から整理する

【原則68】:自分の人生哲学や人生全般の目標をはっきりさせておくことが、個々の問題の目標を明確にする上でも役に立つ

【原則69】:「なぜ」の問いはより上位の目標を明らかにする。「いかに」の問いは選択の広がりをもたらす

【原則70】:案を絞り込んでいく時には、「不可欠」な特徴と「望ましい」特徴をきちんと区別する

【原則71】:案を評価する際には、実利的な損得ばかりではなく、個人の価値観に基づく評価も考える。また、自分のことだけでなく、重要な他者からの評価も考える

【原則72】:実行する際には下位目標を設定し、下位目標を達成するごとに、自分に報酬を与える

【原則73】:ちょっとした躓きで、全てが無に帰したかのように思うことはない。すぐに立ち上がって、また歩き出せばよいだけのことだ

【原則74】:あと知恵バイアスに注意する。後になってから思うほど、人は事前に結果を予測できるものではない

【原則75】:人は誰でも、意思決定を誤ることがある。誤ったときには誤ったことを認め、その誤りの原因を探る

これらの原則を新型コロナウイルス感染症に当てはめれば、差し詰め次のような対策を講じるべきだろう。留意する原則は、太字で示した54、56、61、67、69、そして72の6つである。

①北九州市と下関市を「新型コロナ感染症対策重点特区」に指定し、検査と医療体制の充実に必要な資機材を、国及び余裕のある自治体から集める。

②まず、全住民を対象に抗原検査を実施し、陽性だった住民は中間隔離施設に収容する。

③陰性だった住民には、更にPCR検査を行い、陽性者は同様に中間隔離施設に収容する。陰性だった住民には制限なく経済社会活動を行わせる。

④中間隔離施設に収容された陽性者全員に抗体検査を行い、自分の免疫で回復できる陽性者と、引き続き医療を必要とする陽性者を分ける。

⑤抗体を持った陽性者は、医師の判断に従い順次開放し、市中に戻していく。

以上、要するに「地域を限定して検査と隔離を徹底し経済社会活動と感染症対策を両立させる」作戦だ。北九州市と下関市は、安倍前総理と麻生副総理のおひざ元だから、特区指定も円滑に進むだろう。

皆さん、「これは無理だろう……」といった、暗黙の前提を取り払い、考えられる全ての解決策の候補を出し尽くしましょう。繰り返し仮説を“漏れなく重複なく出し尽くす”訓練を積めば、必ず根本的な解決策に辿り着くことができます。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『未来を拓く洞察力 真に自立した現代人になるために』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。