〈別項〉万博の新エネルギーに感銘

最近、愛・地球博の道路を通りかかったが、あの賑わっていた面影はなく、パビリオンは大半撤去され、夢のあとのような風景であった。

二〇〇五年愛・地球博で、私が最も感銘を受けたシステムは、長久手日本館の三六〇度全天球型映像システムがその一つである。この映像室が作動しはじめた時、宇宙の真ん中にいる感じがして、回転する全方位映像に思わず目まいがした。三つのジャンルがあり日を変えて三回とも見た。

もう一つのシステムは、グローバルハウスのオレンジルートにあるNHK製作のスーパーハイビジョンシアターであった。六〇〇インチの大画面に映された超高精細映像と二二・二チャンネルの立体音響の臨場感は画面が変わるごとに驚きがあり、チョウの羽化の場面、ヒマワリ畑の場面、祭の場面には、涙が出るほど感動した。

運営面でも素早い対応にも満足した。弁当の持ち込み許可、夏の冷水タンク新設などがそれである。七月のグローバルループ(木製床の空中回廊)は暑さで入場者はグッタリして歩いていた。そこに登場した涼しいドライミストはまさに干天の慈雨であって、誰をもニコニコと満足させた。これも会期中に有名になったバイオラングの緑。入場者を健康上安心させたAED(自動体外式除細動器)の大量設置。万博は会期中でもどんどん進歩していった。

基本的にはボランティアの充実は大阪万博にはなかったものだ。入場者はこの人たちの案内、救援で、どれだけ安心安全を頂いたことか。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『21世紀の驚くべき海外旅行II』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。