「このマフラーはどう?」

「いいね。俺にも似合う?」

「うん! 黒髪で黒コートに白いマフラーが大人の男性って感じで似合ってる」

クリスマスは私のお願いでペアの物を買いに行った。サプライズも良いけど、金銭面で負担にならないように、欲しいものを一緒に買うのが今の私たちには丁度良い。お揃いの何かに憧れていた私は、どちらにも似合う真っ白のマフラーを選んだ。

買い物を終えた私たちは中華を食べた。祐介の家に戻る前に、寄りたい場所があると言われ、向かったのは近所の公園だ。

「初めて告白した公園。ここに来たかったんだ」

「懐かしい。あっという間に冬になったね」

「座ろう」

「冷たい!」

木製のベンチは真冬の冷気で冷え切ってお尻から寒さが伝わる。

「マフラー着けようか」

買ったばかりの真っ白のマフラーを祐介が巻いてくれる。祐介には私が巻いた。

祐介の肩にもたれ掛かるように寄り添って暖をとる。

「春に出会って冬になったから四季を過ごせたね」祐介が手を回して私の反対側の肩を温める。

「俺、四季を一緒に過ごしてから決めようと思ってたんだ」

「何を?」

「里奈、俺のお嫁さんになって」祐介はポケットから小さな赤いルビーのような石が付いた可愛らしい指輪を出した。そっと私の手を取ると右手の薬指に通す。

「もちろんすぐにってわけじゃない。里奈が大学卒業してから」

嬉しくて祐介の首に両腕を回す。祐介の見えないところで涙を堪えながら力いっぱい抱きしめた。

「里奈?」

「うん。お嫁さんになる」

「良かった」

祐介は私の頭を撫でてくれた。祐介の手は大きくて頭をすっぽり覆う。この手から伝う優しさと愛情をずっと私だけのものにしたかった。手を伸ばして指輪がよく見えるように外灯の明かりに照らすと、日焼けをしていない真っ白な私の手に、ピンクゴールドと小さな赤い石が綺麗に光を放っている。

会えない瞬間でもこれを祐介だと思って頑張れる気がした。次の春から私は美術大学の受験に備えて、絵の予備校に通うことになっている。平日の放課後会えなくなる。これまで毎日会えていたから、突然会えなくなる事へ不安がっていた私を気遣っての、とっておきのサプライズだった。

「ごめん。私は何も用意してなかった……」

「里奈がいてくれたらそれで良いから」

二度目の公園でのキスは、ファーストキスよりももっと暖かくて、体から愛のエネルギーが放出されるような感覚だった。

※本記事は、2021年10月刊行の書籍『拝啓、母さん父さん』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。