【前回の記事を読む】中堅高校の教師が痛感!「悪しき人事の負のスパイラル」とは

中部地区の普通科高校

研究と修養(1) ~歴史の研究会との出会い~

そもそも教員には、教育基本法や教育公務員特例法などの法律※1によって、「研究と修養」いわゆる“研修”が義務付けられている。したがって、先輩教員からもしばしば研修の大切さはよく聞かされていた。

さて、この頃の私の研修意欲はというと、非常に旺盛で一段とヒートアップしていた。しかし、初任者の頃のただがむしゃらに書籍を貪り読んだり、やみくもにセミナーに足を運んだりするのとは全く違っていた。

私はある歴史の研究会に所属するとともに、教育委員会の研修、いわゆる官製研修にも積極的に参加するなど、組織を通じて、意図的、計画的に研修に参加し、その成果を紀要や報告書などの「形」あるものとしてまとめていった。

この頃の私は、先にも触れた歴史の研究会を基軸に例会や講演会、史跡見学会などに積極的に参加していた。そして当会の専門委員会の委員や地区幹事などを担うなどして、仲間を増やし、いわば、活動の拠点としていた。

当会は、東京都の歴史教員、とりわけ都立高校の教員を中心として、歴史教育の充実・発展を目指して活動している研究団体であった。年2回の講演、年3回の史跡巡検(夏は宿泊を伴う)、授業研究、大学入試問題研究などを行っていた。

またその上部団体としての全国組織があり、高校を中心とした全国の歴史教員の活動団体であったが、ここでも積極的に関わり、事務局を担当したり、全国大会の運営役員として携わったりもした。

私は中学ではなく、高校の教員を目指した。その理由の一つに、教科の専門性の追究があった。そうした考えもあって、こうした研究会は、私が歴史教員を続けていく上での精神的な拠り所ともなっていた。

※1:「教育基本法」第9条法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。「教育公務員特例法」第21条教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない。第22条教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。