しかし、抽象度と検索効率の反比例というジレンマに遭遇した途端に、思考停止に陥っていては、情報化の恩恵を生かしてICTを使いこなすことはできない。

実は、抽象度を一段高める訓練は、川喜多二郎氏が考案した論点整理法である「KJ法」で養うことができる。

KJ法では、ブレーンストーミングで出した意見を一つ1枚のラベルに書き出し、それらのラベルを大きな模造紙に貼り、参加者が意見を出し合って、共通の要素を持つラベル同士をくっつけて「島」をつくる。そしてそれぞれの島に名前を付け、最後に全ての島の相互関係を明らかにする。

先述の例でいえば、緊急事態宣言の解除に意見を述べる方法は幾つかある。少し考えただけでも、個人のブログにアップする、新聞に投書する、雑誌の取材を受ける、著書を出版する、シンポジウムで講演する、内閣府に出向き文書を手渡すなど、各種の自己表現の手段が考えられる。

これらの方法のうち、講演以外にはある共通性がある。それは、全て「執筆」を伴うという点だ。文字にすると言い変えても良い。これに対して、講演は単独で分類される。言い換えれば口頭で説明するということになる。

かくして、私の行動は自己表現という観点から分類すると、「執筆」と「講演」の2つのカテゴリーで尽くされることになる。皆さん、整合性の取れたフォルダ構成ができるよう、似たファイルを類型化し名前を付ける技術を磨こうではありませんか。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『未来を拓く洞察力 真に自立した現代人になるために』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。