【前回の記事を読む】タコ、クラゲ、クモ…宇宙船を支える生き物ロボットの役割

第五章 ロボット

通称ミツバチロボ、正式表示はHO-901号。

小型のため小回りが利き、特技は細部に入り込むことだ。50基(匹)が製造された。

各ブロックの中の内装工事を行なったり、地上からの資材を所定の位置に運び込み設置する。

蚕ロボとクモロボが作った内外装のバリをきれいに剝ぎ取り、更に表面加工もできる小型ロボットで、とてもきれい好きでもある。

昆虫の世界でもミツバチほどの働き者はそうはいない。しかも彼らの巣は精密な幾何学模様で昆虫の中でも抜きん出ている。

設計者も監督も指示するものもいないのに、現場の状況に合わせて巣を構築していく。その昆虫の性格を真似してできたのがこのミツバチロボである。

部品についたバーコードを読み取り、誰の指示に頼ることなくせっせと働く。障害物が来れば一致協力して障害物を排除して困難に立ち向かい、休むことなく目的を達成していく。

地上からは、精密部品や天体観測器具などの主要部品が次々と送られてくる。

月からは岩石や土、氷などの鉱物資材が送られてくる。このように送られてきた資材を所定の位置にセットするのもミツバチロボである。

物資は船の建造軌道上に列をなして送られてくるのだが、その物資を空中キャッチのようにハヤブサロボが捕獲する。ミツバチロボはこのハヤブサロボから物資の受け渡しを受けることになる。

通称ハヤブサロボ、正式表示はFA-401号。

高性能エンジンを持ち、猛スピードで飛んでくる物体を捕獲するのに長けている。全部で5基(羽)製造された。

次々と提案されるロボットの中でも一番問題になったのが、ハヤブサロボの開発である。

宇宙空間で高速で飛んでくる物資をキャッチする技術は、当初持ち合わせていなかったが、堀内の技術援助と乙姫の精密なエンジン設計で開発にこぎつけた。

鋭い目とセンサーは暗闇の中を高速で飛来してくる物体を見つけだし、鋭い足でそれをキャッチする能力が必要になってくる。空中を高速で飛ぶツバメをハヤブサが捕獲するような素早い動きである。

月や地球から送られてくる物資を、宇宙空間でキャッチできる小回りと高速回転ができ、本船に飛来する大型の宇宙ゴミの回収や駆除もできる高性能ロボである。

月や地球からの物資を、いちいち建造船に降ろしていたのでは、時間と手間がかかるので、原則建造船の軌道上に並べて置くように投下されるのであるが、中にはうまく軌道に乗ることなく浮遊するものも出てしまう。

ハヤブサロボはこのような浮遊部品も逃すことなく拾い集めなくてはならない。パズルの一つが欠けても絵が完成しないのと同じである。

このハヤブサロボは船が完成したのちには、その高度な機能性を生かしてウラシマの水先案内船として先行飛行させ、高速で飛ぶウラシマ本船の先行艇の役割を将来担うことになる。