日曜日はロッホ・ローモンドから北上し、フォート・ウィリアム近くのグレンコーまで行きました。グレンコーは1692年ウィリアム3世(オレンジ公ウィリアム、イングランド王在位1689年~1702年)への臣従誓約書の提出が数日遅れたマクドナルド一族30数人が虐殺されたことで有名な谷で、スコットランド人なら誰でも知っている名前です。

その後、前日立ち寄ったスターリングでウォレス記念碑を見学し、パースでスコーン宮殿(スコーン石が置かれていた寺院の廃虚があります)を観光したあと、最後にセント・アンドリュースの町までドライブしゴルフ・コースを眺めてきました。

追伸1:エンジニアリング会社社員のHさんからの日米経常収支不均衡と為替レートについてのご照会に対し、経済理論を知らない銀行員の独断と偏見で回答します。「現在よく分からないことに経常収支と為替レートの関係があります。日米間にこれほど大きな貿易不均衡があり、経常収支が日本は超黒字で米国は超赤字の状態では、素人的発想ではそのうちドルは暴落すると思いますが、その気配は全くありません」。

Hさんの故郷の北海道は明治以降経常収支は恒常的な赤字であり、政府財政支出等で穴埋めされていたはずです。日米を1つの国と考えればたまたま日本にお金があまり、米国にお金が無いだけの話です。各国の経済の相互依存の程度が少なく民間セクターの比重が小さい時代には、経常収支不均衡を調整する手段はほとんどなかったのですが、グローバル経済の時代に多国籍企業・機関投資家にとっては国境線は従来ほどの意味を持ちません。日本の労働人口構成を勘案すれば貯蓄超過になるべきで、投資機会の多い国(たまたま米国-軍事力のため他の国より投資適格性が高いのかもしれません)に資本が流れることになります。

最近問題と思うのは、急激な老齢化・将来の人口減少が予想される中投資効果が少ない日本で公共投資するより投資機会が多く投資利回りが高い海外に投資するのが当然にもかかわらず、相変わらず土木、建設主導の公共投資が増えそうなことです。道路、橋、空港にしろコスト負担する世代人口の増加が見込めない日本よりは海外に投資し、その回収資金が年金支払いに回るべきと思いますが、ケインズ経済学からすると別な結論になるのでしょうか。

追伸2:同じくHさんからの質問です。「呼び鈴と電話の両方が壊れていたため、最初の訪問を察知できなかったようです。私が業務として携わっている原子力の世界では、このような事態は二重偶発性の発生と言い、安全設計上は考慮しなくていい事象に挙げられています。何でも、訪問前日も同様の事態が発生したそうで、運が悪かったようです」。

二重偶発性の原因ですが、地上階(日本式で1階)での修繕工事中に電話とドア・ベルの配線を切断してしまったことが分かりました。「何かの配線を切ったらしい」ことには気づいたものの、他の階の住人には何の連絡もなくほったらかしというのはイギリス的です。但し、これは二重偶発性の問題ではないような気がしますが如何でしょうか。

※本記事は、2021年8月刊行の書籍『ヨーロッパ歴史訪問記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。