それから、フォールは、どうしてだかもう覚えていないのですが、検問所に戻り、兵士たちと話していて、太平洋から大西洋に向かわなければならないこと、そのためには大陸を渡らなければならないことを、もう一度説明していました。

でも、ここで、すべてがちょっとぼやけてきました。話しているうちに、やや右を向いたかと思うと、驚きのあまり動きが止まりました。彼からほんの数メートル先に、母親の姿が見えたからです。彼女は、十字路になった砂泥道路の左側を早足で、歩いていました。やや前かがみの姿勢で、まるで何かを必死で探しているかのような、真剣な目つきをしていました。

フォールは驚きのあまり、物も言えず、突っ立っていました。あまりにも信じがたいことだったからです。

彼は思わず、「ママ、ママ!」と叫んで、彼女に駆け寄りました。彼女も振り向いて「フォール、フォール!」と言い、二人は何度も何度も抱きしめ合っていました。それは、本当にリアルで、ものすごく温かい、情感のこもった瞬間でした。二人はお互いを抱きしめ、背中をさすり合っていました。

フォールは何度も「ママ、ママ」と言いながら、彼女をギュッと抱きしめました。彼女は本当にそこにいて、触ることができて、何もかも感じることができました。不思議としか言いようがありません。こんなことが実際に起こるなんて、信じられませんでした。

フォールは母親を体で感じ、手で触れ、「こんなことがあり得るの? 彼女は死んだのに」とずっと考えていました。そして、彼女が本物で、生きていることを確かめるために、そっと彼女の脇腹をつねってみました。

すると、不思議なことに、柔らかい肌の感触がフォールの指に伝わってきました……それなのに、彼の頭は大声で叫んでいました。

「そんなはずはない! 彼女は死んだのだから……死んで、もういないのだから……こんなことあり?」