首尾よくシート作成ができたかどうかは別にして、単にゲストの話を聞くだけでなく、そこからどう想像力を逞しくさせるのか。講義期間中、学生はそれを強烈に意識し続けなければならなかったはずである。そうした意識がこれらの単語に現れたのかもしれない。そこで、この因子を想像力因子とよぶことにする。

第2因子は、「話」「ゲスト講師」「まとめる」「聞く」「具体的」などの単語で因子負荷量が高い。これも前述したように、シートはルーブリック評価を経て返却されるので、少しでも手を抜くと評価に大きく響くとともに可視化される。そのため、毎回の講義に緊張感を持って臨まねばならなかったはずである。こうした意識が自己評価の文章の中に現れたと考えられる。そこで、この因子を受講態度因子とよぶことにする。

最後に、第3因子は「漢字」「ミス」「メモ」「取る」といった単語の因子負荷量が高い。図表3にあるように、シートの評価において漢字や文法上の誤りに関するチェック項目がある。漢字や文法上のミスをシート作成途中で気づくには、日頃から文章を書いたりそれを確認する癖を身につけなければならない。それと同じで、メモを取るにも意識的に習慣づけなければ容易に身につかない。つまり、こうした単語を書いた学生はこれまでとは異なるレベルの学習習慣を身につけなければならないと意識したのだろう。そこで、この因子を学習習慣因子とよぶことにする。

一方、レポート自己評価の記述に現れる単語群からは3つの因子を抽出した。その結果が表4-4にまとめられている。第1因子は「ミス」「漢字」で因子負荷量が高い。先の学習習慣因子と共通の言葉が含まれるが、「メモ」や「取る」といった言葉はこの因子に含まれない。

レポート採点の際はシートと同様、ルーブリックには漢字・文法上のミスに関するチェック項目がある。導入講義のレポートは3人のゲストの講義内容をまとめつつ、その中からトピックを選んで自分で調べて手書きでまとめなければならない。

シート作成に比べるとはるかにハードルは高いが、提出は講義期間中で4回、つまり月に1回程度のペースである。その分、1回のレポート点はシートよりも高く、漢字・文法といった基本事項のミスは点数に大きく影響する※注1)。そのため、講義期間中において凡ミスを犯さないよう注意した意識が現れたものと考えられる。そこで、この因子を注意力因子とよぶことにする。

第2因子は「分かる」「書き方」「書ける」などの単語で因子負荷量が高い。先述の通り導入講義のレポートは手書きで作成する。その際、自分で調べたことを「グラフ」や「図」の形でまとめることを積極的に認めている。とりわけ、経済学の授業で出されるレポート課題において、図表を駆使することでレポート内容に説得力を付与することができる。

つまり、この因子はレポートをブラッシュアップする手法を意識・発見できたことへの気づきが現れたものと考えられる。そこで、この因子をブラッシュアップ因子とよぶことにする。

最後に、第3因子は「話」「ゲスト講師」「まとめる」の因子負荷量が高いが、これらは受講態度因子と共通している。両者の違いがあるとすればシートとレポートの文章量である。繰り返しになるが、前者は1人のゲスト講師の講義内容をまとめればいいが、後者は3名のゲスト講師の講義内容をまとめなければならない上、自分でテーマを見つけて調べた事項もまとめなければならない。

この点で言えばブラッシュアップ因子と似ているが、ゲスト講師の話をまとめるというレポート作成の前提ともいえる事項、つまりレポート作成のリテラシーを改めて意識づけされたのかもしれない。そこで、この因子をリテラシー因子とよぶことにする。

※注1)導入講義に関しては、講義3回につき1回のペースでレポートも提出させている。その文量は原稿用紙換算10枚程度と多めに設定しているが、手書き444での作成を義務づけている。この理由は日本語を操る能力を鍛えるためと、レポート作成のていねいさを観察するためである。もちろん、これについてもルーブリック評価で採点している。紙幅の都合で本章での掲載は省略するが、5つの評価軸(要約・比較考察・参考文献・日本語・体裁)を設定し、4・2・0の点数配分によって20点満点にしている。

※本記事は、2021年9月刊行の書籍『学生の「やる気」の見分け方』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。