ゴーゴーバーでの出会い

こんな世界があるのか! 女性がモノと同じように売り買いされているなんて! マニラに来て三ヵ月ほど経った七月半ば、正嗣は丈に連れられ初めて入ったゴーゴーバーの『バブルズ』で目にした現実に愕然とした。

大音量で流れるディスコミュージックに合わせ、ステージの上で腰を振りながら踊っているピンヒールを履いたビキニの女の子たち。ある子はステージ上の数ヵ所にあるポールに股間を滑らせ、また別の子はしゃがんで腰を上下に動かしたりして、ステージを囲むカウンター席から熱い視線を送っている男たちに「アタシを買ってちょうだい」とアピールしている。

男たちはビールを飲みながら、ステージで踊り続けるゴーゴーダンサーの品定めに余念がない。女の子たちは胸や腰に数字のついた丸いバッジを付けており、ホールを行き交うレセプショニストやチーママに気に入った子の番号を告げれば隣の席に呼ぶことができる。

女の子に好きなドリンクを飲ませ、ひと時の会話を楽しむ。そして、バーファインという連れ出し料的な店への罰金を払えば店外デートも可能だ。客の男たちのほとんどは、その最終目的のためやって来る。

初めてのゴーゴーバー体験では、ビールに酔ったというよりも、大音量のディスコミュージックに酔い、目の前でセクシーに踊るダンサーたちに酔い、ゴーゴーバーが醸し出す独特の雰囲気に酔った。デルピラール通り沿いにはこのようなゴーゴーバーが何十軒と並んでいた。

この種の店が好きな米兵が一番のターゲットなのか、どの店もビールの値段は一ドル相当の九~一○ペソに設定されていた。LD(Lady'sDrink)という女の子に飲ませるドリンクの値段は倍の二ドル相当の一八~二○ペソ。米兵たちはドルで支払うのだろう。

オープンの時間は店ごとに違うようだ。午後一時、二時からやっている店もあれば、夕方店開きという店もある。暗くなるにつれ賑わいだし、九時から一一時の間が最も活況を呈する時間帯だ。閉店時間は客次第。客がいなければ一時頃に閉めるし、客が入っていれば朝までやっている。