ロコモティブシンドロームとは何か

ロコモティブシンドロームとは、運動器症候群です。加齢にともない、骨、関節、筋肉、軟骨などが劣化し、起立、歩行などの機能不全を来す疾患を総称したもので、日本整形外科学会が提唱し、命名した用語です。略してロコモといいます。疾患としては、椎間板ヘルニア、脊椎管狭窄症、変形性股関節症、変形性膝関節症、大腿骨頸部骨折など、あらゆる高齢者の運動器疾患が入り、骨粗鬆症やサルコペニア(筋肉減少症)などもこれに関与します。

高齢者には自立とQOL(生活の質)が大事ですが、ロコモはADL(日常生活機能)を損うため、その早期発見と予防が必要になります。次の七つのチェック項目が、ロコモのサインとして挙げられています。

①片脚立ちで、靴下がはけない

②家のなかでつまずいたり、すべったりする

③階段を上がるとき、手すりが必要

④家のやや重い仕事(掃除機や布団の上げ下げなど)が困難

⑤二キログラムの買物をして、持って帰るのが困難(一リットル入り牛乳パック二個分)

⑥十五分の歩行ができない

⑦横断歩道を青信号で渡り切れない

以上の七つの項目のうち、ひとつでも当てはまればロコモとされます。対象は大体七十歳代まででしょう。私は今九十二歳ですが、この基準からすればロコモです。とくに片足立ちが難しい。だがその他はたいしたことはありません。

ロコモ予防の目的は、要介護にならず、自立することにあります。それにはふだんから運動を自分の生活に習慣としてとりいれることが大事です。特に片足立ち、スクワット、ウォーキングなどは、簡単だからその気になれば誰でもできます。

「転ばぬ先の杖」は、高齢者のための言葉です。転倒というのは転ぶことです。それには高齢者の不安定性が関係し、室内や外出時のさまざまな要因で起こります。私は以前、パーキンソン病患者の病状を調べ、転倒が多いのに驚きました。八十歳、九十歳代になると足腰が弱くなります。転倒すると起き上がるのが大変です。私も歩いていてときにふらふらする感じのすることがあります。それは経験しないと分かりません。足の裏で、地面を一歩一歩踏みしめるという注意が大事です。私は午前、午後合わせて五千歩以上歩くことを日課としています。健康長寿の道程です。