【第1章】先んずれば相続税を制す

相続税の計算法を知っておこう

今ご紹介したのはあくまでも、生前に対策を打っておくことが有効だということを説明するための一例だと理解してください。生前に資産を減らす方法として、「贈与」と並んでよく使われる方法が「借金」です。

先ほども説明しましたが、払うべき相続税の金額を計算するための課税遺産総額を算出する際には、総資産から借金を差し引きました。つまり、いくら現金などの資産をたくさん持っている被相続人でも、たくさんの借金があれば、相続税を減額することが可能で、場合によってはまったく払わなくてもよくなります。もちろん、単純に借金を作って、現金や預貯金で持っていては、利息がかかって資産が目減りするだけで、本末転倒です。

ポイントは、借金をし、その資金を使って、資産を目減りさせないような投資を行うことです。投資というと、株など金融商品を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、金融商品への投資は相続税の節税にはなりません。金融商品の場合、相続をした段階での時価で相続資産として産出されてしまうためです。もちろん、購入時より価格が下がっていれば、多少は相続税も安くなりますが、それは単純に資産自体が目減りしているだけなので、うれしくもなんともないでしょう。

相続税の節税対策として、もっとも有利に働く投資は間違いなく不動産への投資です。実際、不動産投資は、金融商品への投資などにはない、相続税を減税するために有利に使えるポイントがあります。(それらについては後で説明します。)

不動産投資も被相続人が存命のうちに手を打っておかなくては、相続税の減税対策には使えません。被相続人が亡くなってから投資しても、それは被相続人の資産とはみなしてもらえません。亡くなる前であっても、亡くなる寸前に行われた投資については、税金逃れと認定され、税務署に認めてもらえなかったケースが多々あるので注意が必要です。

不動産投資の場合、数千万円から場合によっては億を超えるお金が必要となるので、そもそも軽々な判断をするべきものではないのは言わずもがなです。土地を買う場合も、何に使うのかによって、適した立地も大きさも異なります。ご希望に合う土地を探すだけでも結構な時間が必要になるでしょう。

自宅を建て替えるにしても、さまざまな要件をクリアしなくてはいけないので相応の時間がかかります。いずれにせよ、このような大きな判断をするには、被相続人の一存ではなく、資産を相続する家族の同意や納得が不可欠なので、やはり被相続人が健在なうちに準備を始めるのが賢明です。

※本記事は、2018年7月刊行の書籍『「金融大工」が知っている 一番わかりやすい相続対策』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。