夜九時、望風は、準備万端、部屋のベッドの上でスマホと紙袋にはいっていた名刺を目の前に並べ、正座した。宝石箱がはいっているかのように持ち応えのあった紙袋は、丁寧にたたんで部屋のテーブルの上においた。

まだ仕事中だろうか、日向さんの色んな場面を想像して、チャットアプリのトークのタイミングが迷惑ではないか考えてしまう。考えたらキリがないので、おくるだけおくってみようと決心した。望風は、いつも相手のことを考えすぎてしまう。自分の都合はほぼおしつけない。でも、少しずつ自分の意見も通そうと常日頃反省しているこの頃だった。

最近買った、触り心地がとても良い羽毛の真っ白なクッションを胸に抱えるようにして、カエルみたいに座り直した。日向さんのIDを入力して、

望風:望風といいます もかです よろしくおねがいします

望風:YOUR HEARTで傘を受け取りました

すぐに既読がついた。望風はドキッとした。お忙しいだろうと、勝手な先入観で、早く既読がつくことを予想していなかった望風は、「やばーー」と言いながら、少しパニックになった。

すぐにトーク画面からホーム画面に切り替えて、落ち着きを取り戻そうとした。ふーっと、目をきょろきょろさせながら深呼吸していると、スマホの着信音がなった。心に餌付けをされるような、チェックマークがつけられるような感じがした。望風は、なにかを決心したように深呼吸をやめて、トーク画面と向き合うことにした。