目を開けるときの眼瞼を開くスピードは、どちらの場合もあまり変わらないように思いますので、目を開けた時点での状態はどちらも同じと思われ、この時どちらも同じ映像が見えるはずではないかと思われるのですが。ちなみに目を開けてすぐ閉じる場合の瞬間的な時間というのは、おそらく100~200ミリ秒程度と思います。

今中心視野での見え方を考えていますが、目を閉じていて開けるとき、瞳孔の収縮による光量調節や、ピント合わせなどの問題はあるでしょうが、そのような要素を抜きにした状態でも、やはり目を開けた瞬間に見えて、次にすぐ目を閉じると不明瞭のまま見えなくなる映像というのは、中心視野での最初の見え方なのではないかと思われるのです。

つまり、目を開けて瞬時に閉じると見える不明瞭な映像は、理論的には中心視野で最もはじめに見えているはずの映像ではないかと思われるのです。もしそうだとしますと、中心視野でもはじめから明瞭に見えているわけではないといえると思うのです。つまりこのことは、はっきりと見えるのにある一定の時間がかかっていることの一つの証拠になるのではと思っています。

そしてそのときそのまま目を開け続けていると、その不明瞭な映像は見えず、最初からはっきりと明瞭に見えているように感じられるわけですが、これはなぜなのでしょうか。つまり目を開けた瞬間には、最初は不明瞭な映像が一瞬見えるはずなのに、目を開け続けるとそれが見えないという理由についてです。これに関してはまたのちほどお話ししようと思います。

ところで、この瞬間的に目を開けてすぐ閉じたときに、周辺視野での見え方はどうかといいますと、有効視野のあたりでやや不明瞭に見えるように感じますが、それより外側の周辺視野では、ふつうに見たときとあまり変わらないように思います(つまりもともと周辺視野では不明瞭ですので、それと同じように見えるということです)。

だとしますと、少なくとも有効視野よりも外側の周辺視野では、パッと目を開けてから、すぐ次の瞬間に目を閉じようと開いていようと見え方はあまり変わらないということで、はじめからふつうに見えているということとなり、つまり周辺視野では見え方が速いということになるのかと思います。

※本記事は、2021年8月刊行の書籍『「意識」と「認識」の過程』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。