七十万円で壺を買った。

仏壇の横にこの壺を置いて水を入れておくと先祖供養になり、覘くと先祖の顔が見えるという。私は「うーん」と言ったあと先祖の顔ではなくて、あんたの顔が映ったものだろうと言うと二人で大笑いをした。

年配の婦人からの依頼で夫が数年前から何事にもやる気がなくて、このままでは病気になって寝付かれでもしたら大変、何とか以前のように元気な夫に戻ってほしい。何が原因かどうすればよいか、教えてほしいと言う。

漠然とした話で、そんなもの世の中にいくらでもあるわ、どうすればと言われてもと思いながら占ってみた。

ご主人の実家、家系で女の子といえばいいか女といえばいいか、それぐらいの年の女性が水に関係して死んでいると思うと話すと、そんなことは聞いたことがないと言う。

ご主人とゆっくり話してみたらと言ってお引き取りいただいた。

後日、婦人がやってきて、夫の妹が十七歳で浜辺で死んでいました、終戦直後で何の供養もして遣れなかったそうです、実家には何十年も前の供養をすればなど言えない。どうしたら良いか思いあぐねてやって来ましたと言う。

私も明確な答えは持ち合せていない。

阿含宗に入信して供養すれば良いと言えば一番良いとは思うが言いにくい気がして、実家に位牌、戒名があれば正確に書き写して、あなたの家で位牌を作り、仏壇の脇に板でも棚でも良いから場所を作り、人に語りかけるように何十日間と期限を決めて、家族で食べるものを先にお供えさせていただきますと、毎日お供えされてはどうですかと言うとそのようにやってみると言って帰っていった。

占星術、占いをやっていてもわからなくて依頼者に聞きに行ったことがある。

近くに住んでいる姉を通じて和裁の先生を視てほしいと言う。先生と夫の二人の生年月日が書かれていた。

折れ線グラフでいえば、二人一緒になった頃から年月と共に徐々に上向いていたが、或るときを境に一気にドン底まで落ちてしまった。夫人である先生は緩やかなカーブを描いて上昇しているが、夫は落ちたままで別々の形である。

夫婦は夫婦でいる限り互いに良くなったり悪くなったり互助し合い二重螺旋を描くものと思っている私は腑に落ちず依頼者に聞きに行った。

家では話しにくいのか近くの喫茶店に案内された。

私のわからないことを率直に聞いた。

順調と思えたのが、いきなりドン下がりになったこと、奥さんは緩やかに回復したがご主人は下がったままであること。