阿含宗へ

街掃除が終わってもそのまま帰宅する人は稀である。

当時阿含宗では大量にチラシ配りを行っていた。街中のマンションでもセキュリティが完備されておらず、容易に各戸にチラシ配りができたのである。大柴燈護摩のチラシは言うに及ばず各市、各地で会館等を借りビデオ上映会、相談会等が開かれていて、前もってチラシ配りが行われていた。印刷されてきたチラシを折る作業は年中道場で行われていた。

別の場所では護摩木の判押し、また判の押し間違いを削る人、できあがった護摩木を束にして箱に詰める人、護摩木勧進に出かける人、誰に指示されることなく手薄と思う処に加わっていく。嬉しく思ったのは、月に一回京都の関西本部道場で行われる例祭に参加できることである。

昼の部は新しい人の受け入れで、午後の部は入信の終わっている人向けに護摩法要のあと、阿含経の講義があり、原稿用紙に訳された短い雑阿含経が全員に配られ、二時間ほどの講義が始まる。

短い経ではあるが誰にでもわかるように噛み砕いて説明してくれるのでありがたいと思った。解説してもらえなければわからないことばかりである。経文の講義が終わると一時間自由に質問の時間をとってくれている。

それにしても一日二度の護摩のあとシャワーのときと人の入れ替わりのとき以外管長は出ずっぱり状態で、よく気力、体力が持つものだと思った。辛いと思ったのは人がいっぱいで正座をすると足が崩せない、少しお尻を動かせる程度である。道場が三条神宮道に移って新しく広くなってゆっくり座れたのは二、三か月である。毎月百人以上の人が入信してくるのである。

すぐに手狭になるも喜ばしいことである。

此の頃入信してくるのは若い人が多かった。花山に大仏が建立され地下に廟が設けられ、大阪からも廟内の清掃奉仕に行くことになり数台の車に分乗して行った。若い人たちは何事にも積徳行積徳行と言って喜んでご奉仕に参加する。

それを聞いていた管長はニコニコしながら積徳行より先に滅罪行があるんだけどね、と言われた。

夏季伝法会

夏季伝法会開催日程表が張り出されているのを目にした。

内容は全くわからないが、是は面白そうと思い何事を置いても参加しなければとAコースに参加申込書を提出した。

場所は静岡県富士宮市の建設大学校中央訓練所とのこと、七月二十三日から七月二十六日までの四日間、一日目は全国から集まって来るので、受付、班割、夕食、開会式、管長講話で終わった。

二日目、三日目は六時起床、昼食五十分をはさんで午後十時半までみっちり講義が組まれている。

内容たるや在家の身では考えられない正に大急ぎの出家修行である。

・梵字

・八段錦法

・基本ムドラー

・密経占星術

・十八契印

四日目になると大虚空蔵菩薩念誦法と、今まで知り得なかった、否、知りようがなかったことを教えてくれる。

今日までの仏教────密教、東密、台密と、阿含宗の違う処を一つだけ記す。