でも、このせいで休みでも早朝に起こされました。寝室までごちゃごちゃ取りに来ます。おまけに「〇〇どこにある?」なんて聞く始末。早朝に。何度言ってもこれは直りません。本当に迷惑で、私は、

「前日から準備しておいて、当日はそれを持って出ていくだけにして! 本当に迷惑です!」

とキレました。そうすると、その翌日だけはそうするものの、また翌週は逆戻り。

そんなことが3年も続きました。

そのうち、彼は試合を見るだけでなく、選手と個人的にラインでのやりとりを始めました。もちろん全員女子。二十代前半。ですが、選手の方も熱心に応援に来てくれるお客さんを邪険にはしません。そこに付け込んだのか、悪意なくなのか、頻繁にやりとりをしていました。

しまいには、会社でも選手とやりとり。もちろん、仕事中です。ラインだけでなく、仕事中に次の試合場所の確認(関東から九州、東北まで、日本全国を駆け回りました)をしたり、横断幕をつくったり! 仕事中に! これには私もあきれて、もちろんやめるように言いました。やめるように言うなんて、情けなくてバカらしくて、子どもじゃないんだから……。そうすると、夫はムッとしたように不機嫌になりました。

それからも、誕生日にはマメにプレゼントをつくり(オリジナルのカップとか!)、〇〇記念とかのプレゼントを渡し、本当にマメに動いていました。

誕生日にプレゼント? 私や子どもたちには何もないのに? 〇〇記念? 結婚記念日も忘れる人が? そのうち、個人的に特定の選手を呼び出し、個人的に会うようになりました。

それが発覚したのは、たまたま家のパソコンを立ち上げたら、「このファイルを保存しますか?」というメッセージとともに、その彼女とのやり取りの詳細をご丁寧に別文書で保存したものが画面上に出てきたことが始まりです。

私には内緒で、23歳の彼女とずっと前からやり取りを繰り返し、ようやく食事にこぎつけた様子が残っていました。私は呆然とし、20年前のあの浮気事件がよみがえりました。彼はまたこんなことを白々しくやっていたのか。それも、娘二人が大事な受験のこの時期に! 嫉妬とか、裏切りとか、そんな感情ではなく、もうあきれ果てるというか、こんなふうに人の気持ちを逆なでできる人もいるんだという怒りでいっぱいでした。

その日は何事もなかったかのように、会社で会い、普通に仕事をし、家に帰りましたが、どうにも腹の虫がおさまりません。家で、娘たちに初めて、

「お母さん、離婚したいと思っている」

と伝えました。

「お父さんが出て行っても問題ない?」

と聞きました。

娘たちは、できれば両親揃っていてくれたほうが嬉しいけれど、お母さんが幸せになれるならそうすればいいと言いました。いままでずいぶんいろんなことを我慢してきた。その見返りがこれか……感謝も労いもなく、その代わりにこれ? 本当なら、熟年夫婦が仲良く年を重ね、互いに支えあいながら老後を考える時期です。子どもも巣立つ時期です。

このとき、一気に「自分の理想の老後」が崩れ去った気がしました。

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※本記事は、2021年6月刊行の書籍『カサンドラ症候群からの脱却』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。