J・w・von ゲーテ(一七四九~一八三二)

大富豪に生まれたゲーテはドイツ最高の小説家、劇作家そして世界的にもトップをいく有名な詩人。皇帝や財産家が幅をきかせていた体制を愚かなことと批判して、疾風(しっぷう)怒涛(どとう)の運動に参加する。「若きウェルテルの悩み」で一気に文名を高めた。イタリア旅行とか、シラーとの交流を通して、芸術の高みを得て、更にワイマールの宰相などの政治でも手腕を発揮した。調和と普遍的人間性に基づくドイツ古典主義文学を確立。豊かな天才を健康、環境、努力に支えられ、高く伸び、大きく開花した稀有の例である。ロマン派に大きな影響を与えた「ウィルヘルム・マイスター」「ファウスト」「エグモント」「詩と真実」などで優れた業績を残した。

L・van ベートーベン(一七七〇~一八二七)

感情だけで弾くと、崩れすぎてベートーベンらしくない。四角四面に弾くと面白くない。そこの論理と感情のバランスをどのように弾くのか苦労した。ということは論理と感情が本当にせめぎ合い、最大限の状態で組み合わさっているのが、ベートーベン。それを論理を感情に変換する作業をしないと、(ベートーベンは)弾けない。ということがわかってから面白くなった。モチーフというカギをもとに想像するのですごく論理的に捉えることができる。

ベートーベンが勝手にモチーフを創造しているのでなくて論理的にとらえることができる。その論理的にとらえたものをどういう気持ちだったのか考えて弾く。だからベートーベンはすごく面白い。暗号を解明していくと、ベートーベンの考えがわかる。だからベートーベンの音楽は哲学と言われる。

哲学は感覚だけでなく、感覚がいかなるものかを考える。そして考える先に見えてくる世界が、人間のちっぽけさと、それに対し増大したものの大きさと、人間はそこへ向かって生きていくという社会や人類へのメッセージがあり、個人的な話だけに終わらない、それがベートーベンの凄さだと思います。(仲道郁代 ピアニスト)

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『21世紀の驚くべき海外旅行II』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。