はじめに

「柿くえば鐘が鳴るなり法隆寺」

母は庭の隅にある柿の木を見て、正岡子規の俳句を読むのが好きでした。

「今年の柿は甘いのう」

「昨年より実がちいせぇ」

私は、母のうんちくを聞きながら柿を食べるのが好きでした。

母は80歳を迎える頃にガンが見つかり、享年87で亡くなりました。母は、ガンの痛みから外出するのも難しくなり、そんな彼女の唯一の楽しみは和室の窓から庭の花や柿の木を眺めることでした。春にはチューリップ、夏には百日紅が咲き、秋にはたわわに実った柿を家族みんなで食べました。

また、入院中の母は、看護師さんと料理の話に花を咲かせ束の間の談笑を愉しみました。

母は、愛情を込めて父のために料理を作るのが好きでした。この本のレシピは、亡き母の面影をしのび二万五千有余の子規の俳句と併せ、母が作った一品やお世話になった方々のお料理と写真で構成いたしました。

料理のレシピや写真を寄贈くださいました皆々様に心より御礼申し上げます。懐かしい昭和レシピやいやされレシピなど和洋折衷様々な料理をおたのしみいただけると幸いです。

佐倉海桜(さくらみお)

 

柿くえば 鐘が鳴るなり 法隆寺​

【柿の炊き込みご飯】

 
 

材料 (4人分)

米…2カップ

水…280㎖

★酒…大さじ2

★しょうゆ…大さじ2

★みりん…小さじ2

★塩…小さじ1/2

三つ葉…1束

柿…1個(160g)

しそ昆布(市販品)…適量

 

作り方

1 米は洗いざるに上げておく。

2 柿は¼に切り皮をむく。種を取り除き一口大に切る。

3 三つ葉は根を切り落とし流水で洗い、1㎝長さに切る。

4 2はざるに上げて水気をきっておく。

5 しそ昆布は食べやすい大きさに切る。

6 炊飯器に米、水、柿と三つ葉、★の調味料を入れ軽く混ぜ合わせ炊く。

7 炊き上がったら器によそってしそ昆布を添える。

 

柿はみそ汁に入れても浅漬けにしてもおいしい万能果物。

柿の効能:血糖値の上昇を抑制し、コレステロール値の低下に効果があるといわれている。

※本記事は、2019年12月刊行の書籍『一食一句 五・七・五で伝わる母の味』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。