誰かに助けを求めなくては…

「とにかく、この窮状を誰かに訴えなければ、私たちだけでは解決できないわ」

「でも身寄りのない私たちに誰がいるの」

「あんた、自慢の甥が弁護士やっているって言ってなかった」

「ダメ、もう一ヵ月も電話に出ないの」

「マスコミはどう、テレビや新聞なら取り上げてくれるかも」

わいわいがやがやホールで相談していたら、お春さんたちがやっとインターネットが繋がったと大喜び、さっそくマスコミの連絡先を調べ電話したが相手にしてもらえず、いろんな人に絵手紙を出すことにした。

「下手なほうが良いと言っても、こんなに手が震えていたら、読める字が書けないわね」

それでもみんな久しぶりに絵手紙を楽しんで書いた。老人ホームが倒産してしまいました、助けてくださいと何枚も書いた。

絵手紙はたくさん書けたけど、さあて、郵便局まで出しに行くのがひと苦労、また峰子さんの運転で出かけるか思案していたら、ハイキングのカップルが通りかかった。

「そうかハイカーなら来るのだわ」

さっそく、声を掛け、絵手紙を投函してくれるよう頼んでみた。気持ち良く引き受けてくれたお礼にホームのカルチャー教室で作った七宝焼きをあげるとたいそう喜んでくれた。これは発見、人に来てもらうにはカルチャー教室で作ったものが役に立ちそうだ。