登録してしばらくたったころ、私の実家のある街で、ある会社が人材を募集しているという情報をいただきました。ですが、そこにもし行くとなると、せっかく買った家を手放すことになります。家のローンを払うために転職するのに、家がなくなっては本末転倒です。

でも、いまの夫には「給料が良いところ」ということにしか目がいかず、本来の目的であった「家のローンのために」という部分がきれいさっぱりなくなっていました。

とりあえずそこを受け、結果を待ちました。二次面接、三次面接と進み、なんとそこの会社に採用が決まりました。夫は、そのころ技術職として働いていましたので、自分のできる仕事というのがある程度わかっていて、専門的にそれができる即戦力ということで採用していただけたのだと思います。給料面でも申し分ない。でも……せっかく建てた、私たち家族の家を、このお城を手放さなければならなくなりました。

家を建ててから7年がたったころ、私たち家族は私の実家のある土地へ引っ越すことになりました。引っ越すのは、子どもたちの進級に合わせて3月ということに決め、それまでは夫が自分の実家から会社へ通うことになりました。

このときも、家を売る手続き、引っ越しの手続き、転校の手続きなど、あらゆる手配は私がやり、夫はサインするだけ。「世帯主」という肩書だけで、すべての契約の最後には夫が名前を書くのです。手続きはすべて私がやったのに。

引っ越しまでに運よく家も売れました。寂しかったですが、こうなってしまったものは仕方ありません。3月までの間の数ヵ月間、夫は新築の家を離れ、プチ単身赴任をすることになりました。

思えば、このときはものすごく快適で、生活がものすごく楽でした。シンプルで快適、子どもと3人、何不自由なく過ごしました。楽しい数ヵ月間でした。それでも徐々に引っ越しが近づき、私は一人で荷物の準備をし、引っ越しごみも一人で処分し、転校、ご近所とのお別れ、私も退職し、そんな手続きも何もかも一人で済ませました。

一軒家の引っ越しは本当に大変です。何度か引っ越したけれど、思い返せばこの準備はいつも私一人でやっていました。大変な作業でしたが、無事に引っ越しが終わり、いよいよいま住んでいる家にやって来たのです。ここに引っ越してからの12年が、私にとっては結婚生活の中で一番辛く長いものになりました。

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※本記事は、2021年6月刊行の書籍『カサンドラ症候群からの脱却』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。