ステージ2 「面白そう」から仕掛けてみる

2-1 「印象」から考える

印象」は、世のなかにあるほとんどの商品で重要なのではないでしょうか? 皆さんもご存じの通り、個人がSNS に投稿する写真や情報、競合する物や店であふれている現在では、店構えやパッケージなどの「パッと見」で、より大きく興味が分かれていっているようです。

特に未知なるものに手を出してもらう場合は、「印象」か「口コミ」などの勝負が避けられないため、商品そのもののよさや品質だけでなく、瞬間でお客さんの興味をとらえる工夫に対して、より厳しさを求められていると思われます。

こういった状況について、当然ゲームでも同じことがいえるのですが、ゲームに限らず、映画の予告編や本の表紙など、瞬間で興味をとらえる工夫は身近な生活のいたるところで目にし、各娯楽で日々進化しています。

そういう環境のなかで育っているお子さんの目は、ひと昔では考えられないほどに鍛えられているとも考えられますし、スマートフォンやタブレットを日々お子さんに渡して動画を見せているのであればなおさらです。

となれば、興味を持って手に取ってもらうために最初の「印象」を工夫することは、親御さんが「やってほしい」○○の場合でもまた、お子さんを引き込むためにも避けては通れない道として考えるべきです。

私が最初にいたゲーム制作会社では、見た目のインパクトや一目でわかる楽しさを常に提供していたと思います。それは国内外にいる数多くのファンの期待に応えるべく、絶え間なく模索していたからだと考えます。

次はどうやって「驚き」を与え、手に取ってもらえるか、有名シリーズの名前の力に甘えることなくチーム一丸となり考えていました。それらの努力が、何年後かに改めて見ても新鮮さが変わらなかったり、当時の記憶を思い起こしたりできるシーンにつながっているのだと思います。

「良くできている」ではなく、「売れる」「面白い」ゲームをつくろうとしている確固たる路線には、「印象」に対しての明確な指針も立てられていて、絵的なところでの「引き」や「驚き」も真面目に考えられていました。

絵的にはシンプルであったファミコン時代のころから、ステージごとの最初の画面で「何をやらせるか明確にして、目を引く」が意識されていたそうなので、そこには普遍的な強さがありそうです。

つまり、「印象」が大事であることは、いまに始まった話ではなく、「やってもらう」ためには避けて通れない要素だったということがわかります。

そんな絶え間ない努力を続けていても、世のなかにあふれる魅力的な要素は日々増大していくため、なかなか思ったような成果に結びつかないこともままあります。

※本記事は、2020年4月刊行の書籍『ゲームは子育てを助けられる ゲーム制作から考える子育て攻略本』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。