③メトホルミンの製剤的特徴

一般名はメトホルミン(化学名:ジメチルビグアナイド)で、2個のグアニジン(図3)が縮合し2個のメチル基が付いた形をしています(図4)。

写真を拡大 [図3]グアニジン
写真を拡大 [図4]ジメチルビグアナイド(メトホルミン)

点線で囲んだ部分をビグアナイド基と呼びますが、この部分とオルメサルタン由来のジアセチルが反応することで黄変色します。しかし、ジアセチルとビグアナイド基があるだけでは反応せず、高温多湿の条件が必要とされています。いくつかのジェネリックメーカーさんの配合試験では、40℃、湿度が75%という条件で実施され、その結果を見ますと、早くて2~3日、遅くとも1週間でごく薄い黄色への変化がメトホルミン錠側で見られ、1カ月程度で黄変します。一方のジアセチルを放出している側のオルメサルタンの変色はありません。また同時に実施された通常の室温条件での実験では変化はなかったとされています。変色したメトホルミンに効果があるのか、何か副作用を引き起こすのかの詳細は不明ですが、患者さんに怪しげなものを与えるようなことをしてはいけません。

④カモスタットメシル酸(フオイパン)の場合

添付文書で変色するとの記載のあるカモスタットでも同様の配合試験結果から、高温多湿条件下でオルメサルタン側には変化なく、カモスタット側が1カ月後にごく薄い紅色に変化したとしています。こちらも室温条件では変化はありませんでした。カモスタットではビグアナイド基ではなく似た構造のグアニジノ基(図5点線枠)が端についており、ここにジアセチルが反応すると考えられています。

写真を拡大 [図5]カモスタット
※本記事は、2021年7月刊行の書籍『知って納得! 薬のおはなし』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。