「なでしこジャパン」の2024年W杯優勝を確信する

女子サッカーW杯の決勝トーナメント1回戦のオランダ戦を観た。残念ながら1─2で敗れたが、今後に向けて課題が明確になった試合だったと思う。特に後半に見せた「なでしこジャパン」の独創的な攻撃と統率の取れた守備に感銘を受けたが、最終的には次のような感想を持った。

体格と身長で劣る日本人が世界で勝つための基本戦術であるパスサッカーは素晴らしい。しかし、そのスタイルが意外性を持って受け止められる時代は終わった。どの対戦相手も、入念に日本のパスサッカーを研究してくる。

これからは、パスサッカーを世界一組織的で規律正しい戦術として守備陣の理解度を高めていくと共に、その強固な基盤の上で、創造的で独創的なプレーを見せられる攻撃陣をどのようにして作り上げていくか、その担い手を如何に発掘・要請していくか、が課題であると思う。

4(3)─3(4)─3とは、言わずと知れた古典的なサッカーのフォーメーションだが、今回の「なでしこジャパン」にもこれが当てはまる。しかし、フォーメーションではなく、選手の分布という観点においてだ。即ち、INAC神戸4人(3人)+日テレベレーザ3人(4人)+その他3人という構成を指す。

FW岩渕真奈、MF中島依美、MF杉田妃和、DF鮫島彩の4人は、INAC神戸の選手である。

一方、MF長谷川唯、MF籾木結花、MF三浦成美、DF清水梨紗、の4人は日テレベレーザに所属している。実は、なでしこジャパンは基本的にこの2チームを母体に作られている。これに攻守の要として、浦和のFW菅沢優衣香、仙台のDF市瀬菜々、キャプテンでリヨンに所属するDF熊谷紗希、そして日テレベレーザの守護神GK山下杏也加が加わり完成する。

ところで、サッカーでは、「何だよ……」という呟きが多い方が負ける。この呟きは、ボールに関わった味方のプレーヤーが、他のプレーヤーが共有しているチーム戦とは違った攻撃や守備をすることで、盛り上がってきた、若しくは耐え忍んできた一体感が萎えていく時に暗に発せられる。

決勝点のPKに繋がる嫌な流れも、元はと言えば攻撃のわずかな意思疎通のミスから生まれた。後半40分ころ、相手陣の左サイド奥深くでスローインのチャンスを得た。しかし、ボールを入れたMF杉田(INAC神戸)と、受けようとしたMF長谷川(日テレベレーザ)の呼吸が合わず、相手にボールを奪われてしまった。誰もが、「スローインから展開して次はどのオプションを使おうか……」と考えだしたその瞬間にボールを奪われ、逆に不意を突かれることになった。こうなると弱い。

確かに、長谷川はトリッキーなプレーが持ち味ではあるが、「ここで取って帰る!」とチーム全員が意思統一している矢先に、自分の得意な動きで相手をかく乱しようと策を弄するのは危険である。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『未来を拓く洞察力 真に自立した現代人になるために』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。