紅茶の入れ方 プロの技伝授

ここで、味作りに知っておきたい秘密の紅茶抽出の根本原理、を公開しよう。

秘密の原理1.渋み抽出 紅茶は、もともと茶葉に含まれる可溶性成分のうち半分くらいしか、出していない。早い段階で出てくる抽出成分は、ソフトな渋みの香味傾向となる。紅茶の好ましくないエグい渋みは、熱湯で長時間置いて絞り出した最後の出がらしに多く含まれる傾向がある。ビールの一番搾りがまろやかなコクが多いイメージに重なる。

秘密の原理2.香り成分 良い香りは、アツアツの熱湯ほど、良く出てくる。同時に揮発性が高く、飛びやすい。揮発しにくい香りは冷めた紅茶の中にも、残ってくる。香りの良く出た紅茶をいれるには、上質の紅茶葉を通常の1.5倍以上使ってアツアツの熱湯でやや短い抽出時間で入れると良い。紅茶葉の量をぜいたくに使えば、つまり2倍の茶葉なら2倍量の香り成分が含まれているのだから。

秘密の原理3.お湯温度の設定 100℃に沸騰水を使えという原則を破り、低温抽出を試してみることも味がわかる人にはお勧めしたい。香りはより豊かに感じられるが、キツイ渋みがなくまろやかな味の紅茶は、1.5倍から2倍量の多めの茶葉を使って、70~80℃の少し冷めた温度での抽出を行うことで得られる。

この方法は、OPタイプのホールリーフのダージリンや、BOPタイプのセイロンブレンド(ハイグロウン・ディンブラ、ミディアムグロウン・キャンディなど)で、香りと渋みが絶妙なバランスとなり、上手くいくことが多い。また、苦み成分のカフェインは、熱湯抽出するとポリフェノールより早く、最初に溶け出してくる。

やや低温のお湯を使うことで、溶け出しが遅くなるため、茶葉の使用量が増えてもそれほどカフェインの苦みが気にならないようだ。茶葉のサイズについては、小さくなる程湯に触れる表面積が増え、浸出が早いので時間は短くする。

エグク、キツイ渋みのポリフェノールも茶葉の中に残りやすいという利点もある。あまり攪拌せずに、茶葉が自由に動きにくい、ジャンピングしにくい条件にして、抽出するということになる。紅茶葉をポットの中で「ジャンピングさせよう」という通説の逆だが!

この方法では成分をたっぷりと残したまま抽出を終えるため、茶葉を無駄なく経済的に絞り出すという観点からは、やや贅沢ないれ方だ。

でも、こう考えたらどうだろう? 1杯1000円近くの値段を出して飲むハイエンドな紅茶もあるのだから、100gあたり3000円の紅茶葉を10gくらい多く使ったところで、300円アップで済んでしまう。贅沢な話だが、これが究極の紅茶だとしたらどうだろう。

プロも行う秘密の原理を知ったところで、基本の上に立つ応用をしつこく試してみれば、自分にとっての究極の1杯が見えてきたのでは。早速自分流の進化にトライしてみてはいかがでしょう?

Brew the best pot of TEA.

ティーポットで最高のティーを創り出そう。

そうすれば、楽しみは無限大に広がっていくことでしょう。

それでは、再び Take the Tea Train