いま騒ぐと怒鳴るのか、それとも何も言わないのか。いま、この車内で大きな声を出したら怒鳴るのか、それとも何も言わないのか。一貫性がないので、いつもビクビクしていました。そんなことがずっと続き、私はいつのころからか、夫と子どもをなるべく離して育てるようになりました。そうしないと、いつ何時子どもが怒鳴られるかわからない。毎日気が気ではないのです。

その手段として、夫のパソコンを2階の部屋に移動させ、下のリビングと切り離しました。これで、すごく1階が快適になりました。ですがしばらくして、俺だけ一人2階ではつまらない。やはり1階でゲームがしたいと言うのです。あまりにしつこいので、子どもに怒鳴らないという条件で1階に移動させました。

それからは、夫は1階のリビングで一人ゲーム、子どもたちはその周りで勝手に遊んでいるという日常がやってきました。1階でゲームをするのも2階で一人でするのも同じだと思うのですが、なぜか夫は1階に下りてきたがりました。どうせ子どもに関わることはないくせに、なぜわざわざ騒がしい1階に来て一人でゲームをする必要があるのか、私には理解ができませんでした。どうせ子どもが話しかけたら怒鳴るくせに。

そのため、子どもたちには、「お父さんには話しかけないようにね。邪魔すると叱られるよ」と言ってありました。事実、子どもがゲームの邪魔をすると決まって怒鳴りました。こんな状況でしたので、家はまったく安らげる場所ではなかったのです。いつも3人に気を遣い、子どもたちが叱られないように目を凝らし、ひとときも休まる時間はありませんでした。

また、夫は自分が必死でやっているゲーム中は、こちらから重要な話を持ちかけても聞きません。それがたとえ家族の重大な出来事に関わることでも、です。聞こえているかもしれないと思って話すと、決まって後から、「聞いていない」と言います。家族で食卓を囲み、学校の話や友達のことなどを話していても、彼は何も聞こえていないのです。

まさか聞こえていないなんてことがあるはずないとこっちは思っているので、子どもが保育園のお泊り保育なんかでいなくなっても、夫はいないことすら気づかず、帰ってきたころに、「どこ行ってたんだ?」と言うような始末。あれだけ食卓で話していた話題にも関わらず何も聞いていないのです。

2日間、子どもがいなくなっても、そのことをさんざん話していたことも、何も気づいていない。これは、子どもが修学旅行のときも、林間学校や自然学校などでも同じです。子どもがいないことすら気づかない。最初は能天気な人だなぐらいに思っていましたが、こんなことが続くと、さすがに「家族がいないことに気づかないなんて、家族に関心がないんだろうか」と思わざるを得ませんでした。

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※本記事は、2021年6月刊行の書籍『カサンドラ症候群からの脱却』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。