私にとっての五つの読み方

四 見栄からの読み方

威張ることではありませんが、見栄というかプライドで読む本です。たいして興味もないし、面白さを感じませんが、読んでいることでなんとなく格好つけられる本です。”読書男子”―”読書好きおっさん”と言った方がいいですね―を気取るために読む本です。

そうやって私は、若かりし日々に、シドニィ・シェルダンの『ゲームの達人』や、フョードル・ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』や、アントン・チェーホフの『桜の園』や、ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』や、吉行淳之介の『原色の街・驟雨』を読みました(すべて読み切っていませんし、ほとんど覚えていません)。

ただ、三島由紀夫に関しては、三回くらいがんばって挑戦しましたが、文体が難し過ぎるのと自己陶酔に付いていけず、すぐに挫折しました。川端康成は、ロマンチックではあるものの「大人のおとぎ話」的過ぎて読めませんでした。そういう本もけっこうあります。

見栄で読むだけですから、格好いいかそうでないかが判断材料です。でもそうやって読んで、新たなジャンルを開拓できることがたまにありますから、この読み方も止められません。ということで、”キノベス! 2020”第一位のブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』を読みました。

五 指南書としての読み方

言ってみれば、バイブルとしての本です。デスクの上や本棚の特等席やベッドの脇に鎮座させておく書籍です。ことあるごとに繰り返し、寝る前に一ページだけ、迷ったときにランダムに読む本です。

村上春樹さんの『職業としての小説家』、『走ることについて語るときに僕の語ること』、保坂和志さんの『途方に暮れて、人生論』、内田樹さんの『生きづらさについて考える』、池田晶子さんの『考える日々・考える日々Ⅱ・考える日々Ⅲ』、渡辺淳一さんの『渡辺淳一の世界Ⅰ・Ⅱ』などです。

それと、松本零士さんの『未来へ翔び立つ名言集〜ヤマト・999の言葉たち』や、黒木瞳さんの『もう夫には恋はできない』や、石塚真一さんの『岳みんなの山』や、メリッサ・ヘルスターンさんの『エレガントな女性になる方法オードリー・ヘップバーンの秘密』、西川史子さんの『年収4000万にこだわる理由』などがあります。

たくさん紹介したくて、つい参考書籍が多くなりました。思考方法やインスパイアされる言葉、モチベーション維持やメンタルの安定など、大袈裟に言えば生き方に関して、私のマインドに合うかが判断材料です。

嫌みな読書家だったら、こういうところで必ず哲学書のひとつも紹介してくるでしょうけれども、私にとっての大事なポイントは、難し過ぎず楽しく、でもちょっとだけ同情できたり自信が付いたりする本です。なぜなら、あまり向き合い過ぎると深入りして気分が重くなってしまうので、ときどき取り出して気軽に読めるくらいがちょうどいいのです。