ドイツを走る

ともかくドイツ南北縦断

かつて山本七平が、「本屋へ行くと現代のマルコ・ポーロたちが賑やかに『西方見聞録』を書いているのが判るが、その内容となると……」と疑問をなげかけていた。私の文がそう言われないように気をつけたいと思うので、よろしくおつきあいの程を願います。

今回の旅もドイツを選んだ。愛知万博の年で「自然の叡智」がスローガンだったので、環境先進国のドイツにしたことに私自身納得している。例年と大いに違うところは、12都市を12日かけて、2組夫婦で走り通したこと。相棒の御夫婦は中学高校同級でドクターの医大名誉教授と奥さまである。

ドクターは若いころドイツに数年留学していたので、今回は語学の問題は全くお任せで済むし、旅のプランも概ね作ってもらったので大変楽だった。それでも二家合同の旅となると何かにつけても家風の違いが出て、とかく珍道中になりやすいのだ。そういう部分を文章にすると紀行文より大衆小説に近くなるので、その部分はできるだけ記述を避けた。

ドイツ旅行は3回目であるが前2回がベルリン中心だったのに対し、パック旅行に入ってない地域を選んだ。ハンブルクやフライブルクなどである。旅の最後に誰もが立ち寄るハイデルベルクへ行ってやっと日本人たちを見かけた。

フランス、イギリス、イタリア等は世界の観光客をひきつける魅力があるのだろうか。ドイツは何となく地味で、田舎くさくて、辺境の悲しみという感じがして、外国人をもてなすという仕掛けはあまりない。その一例として、ドイツ(及び東欧)には、多そうで少ないのが旅の気分を楽しくさせる辻音楽師である。

また、日独の社会的共通点は長子相続制という封建的な制度であると養老孟司氏が述べている。遅れて出発した資本主義国なので同じ苦労をなめた。日独が一緒にこけてしまったのが第二次大戦である。今では経済と環境に向かって走る優等生という意味で戦友なのだ。ともかくドイツ南北縦断の旅に出発した。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『21世紀の驚くべき海外旅行II』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。