淳の妊娠

「俺たちはそこで出会ったんだ……発展途上だったよ、まさに……」

 二人が昔話で八汐のわからない話になったのを、羨ましがりながら聴いていた。聴いているうちに、二人の惜春の吐息が聴き分けられた。そっちにのめり込んでもらっては置いてけぼりを食って面白くないから

「体育会系でしたか。淳さんはあなた方が理想の男性で、話に聴くと僕はとても敵わない。なんで僕でいいのか、謎です」

「まさか本気じゃないだろう? 外見だけじゃないぞ」

失点いくつだったっけ。

「あの、いや、中味は元から敵いっこないから」

笑いながら重信が冷蔵庫に行くからくっついて行って

「まだ採点中ですか?」

「採点なんかしてないよ。男三人の男子会だ。乗りが悪いのも左利きのせいか?」

中味、で思い出してしまった。ハイボールはだんだん濃くなっている。

「あの、大事なことを……飲んじゃってからで……もう帰らなくちゃ……」

「うん、飲んじゃった。今更遅い。淳さん(・・)にアリバイ証言してやるから泊まっていけ」

「淳さんは、今日、那須の友だちを見舞いに行ってるんで……」

「携帯でね」

那須の情報を入れたのはこっちだから、友だち……ふんふん、心得た。

淳も泊まる、って……まだ、俺が疎ましいのだろうか。