アストラルな池を潜り抜けて

フォールは、いつの間にか険しい山奥の森を抜けて、不思議な場所に来ていました。夢ではいつものことなのですが、夢の中で主役を演じているフォールと、それを上から見ているフォールがいました。

彼は仲間と一緒に来ていて、難しい試練を潜り抜けなければならないのでした。試練がやっと終わった時、フォールは小高い丘の上にいました。そして、それほど遠くない所に、ガイドと思われるとても大きな男の人が立っていました。その男の人は、フォールをじっと見つめ、近寄って来て、皆試験を通過したから、家に帰っても良いと言いました。

ところが、そのすぐ後に、こう言ったのです。「だが、お前は、帰る前にある者に会わなければならない」そして、そのある者がどれほど特別かを、とても怖がりで、すぐに逃げてしまうから、気をつけてあげなければいけない存在であることを説明しました。

ガイドは、そう言うと姿を消し、すぐにまた、本当に不思議な存在を、人間ではないのですが、人間のようなホビットを連れて戻ってきました。そのホビットは、顔が長く、顎がちょっと垂れ下がっていて、目がやや濁り、瞼が半分閉じていました。体もちょっと変わっていました。長い腕を引きずっていて、膝丈のズボンを履き、開襟シャツからは胸がはだけていました。

フォールの前に立っている、無言で目がどんよりしたこのホビットは、見るからに、恥ずかしがりやで、内気で、多分知的障害も抱えているようでした。なんとなくサルを思わせるその顔つきに、知性を示すものは全くと言っていいほどありませんでした。それなのに、なぜかフォールは、そこに自分のとは異質の知性を感じていました。