部活動の一シーン

部活動では、最初に着任した学校から、現在勤務している最後の学校まで、ずっとソフトテニス部の顧問を続けることができた。男子を教えたり、女子をコーチしたり、その両方を兼任することも多かった。私自身はその競技の経験者でもなければ専門家でもない。それでも、生徒と一緒にボールを打ち合った日々は楽しかった。

ソフトテニスのダブルスの勝敗は、精神面に大きく左右される。精神面の弱い選手の試合態度は、露骨に表に現れる。自分のミスを棚に上げてパートナーのミスを責めたり、いかにも身体の調子が悪いふりをして自分の実力を繕って見せたり、実力の伴わないプレイヤーに限って、そういう態度をとりがちになる。

特に、学年の異なる上級生と下級生でペアを組ませた場合、その選手の精神的な成長の度合は、誰から見ても明らかだ。ミスの多い下級生に対して、一生懸命に声をかけて励まそうとする上級生もいれば、感情を抑えきれずに下級生に辛くあたり、そのイライラをまき散らすように、自分からミスを繰り返す、子どもっぽい先輩もいる。それに耐えなければならない下級生の重圧も大変なものである。

しかし、そういうことがわかっている上で、私は、上級生と下級生のペアを積極的に作ることにしている。それは私の心の中に、忘れられないひとつのシーンがあるからだ。