フルチンで川に入って魚獲り

学校の帰りには毎日のように晴雄の家に寄った。弟のいない晴雄はMを連れて遊びに出た。一緒に川へ行き、フルチンで川に入って網でフナ、イワナ、ヤマメなどをすくった。

晴雄の家へ帰ってきて、庭に置いてあるドラム缶で作った火鉢で枯れ木を燃やし魚を串にさして焼いて食べた。空腹のMにとっては格別のご馳走だった。

多く獲れた日には、小魚をお土産に持って帰り、母に渡して夕食のおかずにしてもらった。母や妹もおいしいおいしいと言いながら食べてくれたので、嬉しくて、次は、もっと大きいのを獲ってくると約束した。

川遊びに夢中になった夏の日

Mは晴雄と仲良くなり、学校から帰ると腰の高さくらいの水が流れている近くの川に行って遊んだ。体が日焼けしてチョコレートのようだと母に言われた。

そんなある日、川に潜っていて大きい鯰のような形をしたぬめっとしたものに触って驚いて晴雄に助けを求めた。晴雄は素早く川に潜って悪戦苦闘しながら網で獲物を捕らえた。鯰のような五十センチ以上もありそうな黒っぽいもので、晴雄は「はんざきじゃ。正式には山椒魚というて特別天然記念物なんじゃ」と教えてくれた。

家に持ち帰り庭で火を燃やして、はんざきを麦藁で包んで焼いた。見た目は気持ちが悪かったが、皮を剝くと柔らかい白い身で醬油をつけて食べると骨はなく、魚よりうまかった。

川や野や山におやつ代わりに食べられる魚や野いちごや木の芽や酸っぱい草の葉などがあり、晴雄が食えると教えてくれたものを採って食べた。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『ピカ・ドン(原爆落下)とマリリン・モンローを見た少年M』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。