2章 責任構造物としての防災施設の使命

繰り返す河川災害の根本的原因は「堤防の構造」にある

堤防が決壊、崩壊する三つの主要因とは?

降雨量は、短時間危険雨量でもせいぜい100~200ミリであり足首までの水嵩だ。一日の雨量が過去最大だ、と騒いでいるが500~600ミリであって大人の脛の高さである。

この降雨の集積場所が河川である。降雨面積と地形、流入場所、河川の水量収容容積、高低差、屈曲角などで河川の性能が決まるが、これらは全て構築前に決めるべき設計事項である。

毎年のように起こっている河川による災害は、単純に低きに流れる水の性質を制御することができず、大災害を繰り返しているのである。この原因は河川そのものの性能に帰するところが大きいが、根本的な原因は「堤防の構造」にある。堤防の決壊、崩壊の主要因として次の三つを挙げることができる。

①越水破堤

河川に集積した水が容積限界をオーバーして堤防を越えて溢れ出し、外側の土砂を削り取っていくことによって堤防の強度が落ち、その結果、堤防が内水圧に耐えきれなくなって破壊される。

[図表1]越水破堤

②浸透破堤

増水した河川の水が堤防の粗粒の部分に浸み込んだり、「蟻の一穴」と言われる虫や動物などが開けた穴が堤防の外側面を貫通して水道(水みち)となって徐々に拡大することによって堤防がもろくなり崩れる。

[図表2]浸透破堤

③浸食破堤

河川に集積した水の量が増えると流れが速くなり、それに伴って土砂や玉石、流木などが混ざる比率も高まるために水の質量が上がってエネルギーが増大する。大きなエネルギーを持った濁流が河川の内側を破壊し、堤防本体を浸食して破堤に至る。

[図表3]浸食破堤

自然災害の威力に勝てる強固な防災施設を造ることが解決の道

どんな降雨に見舞われても、堤防が決壊しなければ大災害には至らない。そのために堤防は「責任構造物」として存在しているのである。壊れるものを造るから逃げる、という安易な方に傾き、逃げるからいつまで経っても解決には至らないのである。防災の専門家が言う災害のメカニズムや、自然界が異常だといくら文句を言っても災害は繰り返されているのだ。

それより、自然災害の威力に勝てる強固な防災施設を造ることが解決の道である。自然災害を防ぐのは、防災の学者や専門家ではない。「頑強な防災施設を造る専門家」が主役でなくてはならない。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『国土崩壊 「土堤原則」の大罪』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。