西郡大は『大学入試研究ジャーナル』誌上に創刊(1991年3月)から2010年までに掲載された121本の追跡調査をレビューし、入試制度と入学後の学業成績などとの関連性についての傾向的結論についてまとめている。

その一部を抜粋すると以下の通りである。

・入試の成績と入学後の学業成績に相関関係が見られず、むしろ調査書の評定平均を中心とする「高校成績」の方が入学後の学業成績に影響する。

・好成績を修める学生の特徴は入試成績の上位者ではなく、むしろ入学後のモチベーションや勉学に対する高い意識をもつ学生である。

・AO入試を経て入学した学生の学業成績は他の入試制度を経た学生と遜色なく、むしろ他の入試制度に比べて高い学習意欲や積極性をもって入学する傾向にある。

大塚智子らは、2003~04年度および2007年度に高知大医学部医学科に入学した学生を対象に興味深い追跡調査を行った。高知大学医学部医学科のAO入試では、2002年度より第2次選考で実施される課題解決学習(ProblemBasedLearning:PBL)を通じて「主体性・多様性・協働性」という情意領域を評価し、それにもとづいて入学者を選抜している。

大塚らは、医師国家試験合格後に臨床研修を受ける際の指導教員に対して指導学生の情意領域に関するアンケート調査を行い、その調査結果とAO入試で入学した37名の入学時点の情意領域評価との相関を調べた。その結果、両者の間に中程度の正の相関が観察された。

そして、AO入試で入学した37名とその他の入試制度で入学した47名との間で情意領域の評価の差異を検証したところ、「チーム医療」に属する項目についてAO入試入学者の方がその他の入試入学者よりも有意に高かった。

※本記事は、2021年9月刊行の書籍『学生の「やる気」の見分け方』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。