利尿薬が血清カルシウム(Ca)値に与える影響

一般的に利尿薬が血清電解質に及ぼす影響としてはループ系利尿薬とサイアザイド系利尿薬では低Na血症、低K血症、低Cl性アルカローシスが有名で、抗アルドステロン薬では低Na血症、高K血症と一部影響が逆転します。

薬理学の本を見ていますと「ループ系」は血清Ca値を下げるため骨粗鬆症傾向のある高齢者には不向きで、「サイアザイド系」は血清Ca値を上げるため骨粗鬆症傾向のある高齢者には有用だという記載が出てきました。

今回は、これら2系統の利尿薬の血清Ca値に及ぼす影響について確認してみました。

①添付文書での電解質に関する副作用記載

現在、医療用で利用されているほぼ全ての利尿薬について調べたところ、図表1のような結果になりました。表中の添え字の意味は表下の通りです。

写真を拡大 [図表1] 利尿薬の血中電解質に及ぼす影響

図表1のように、利尿薬の作用機序の特徴から低Na血症、低K血症、低Cl血症は全ての利尿薬に共通した副作用であることが分かります。ただし、Caに関してはループ系のフロセミドのみが低Ca血症の記載があり、その他のループ系での記載はありませんでした。一方のサイアザイド系は全てに高Ca血症もしくはCa貯留の記載があり、高Ca血症の患者には注意して投与する旨の記載すらありました。

血清Ca関連の副作用では、ループ系よりもサイアザイド系でより注意をする必要がありそうです。