俺はしどろもどろで、描き上がったばかりです、もっと描けると思います、あの、もっと、このままで描き続けていいなら、と、言った、つもり。

「これ、どうしたいの?」

どうしたい、って。

「置いてもらえたら……しばらく」

画廊主の目線を追ってぐるりと壁を見回すとずいぶんいい絵がある。俺は呪文も止めて逃げようと毛布に手を伸ばす。

「サイズは……どうして決めたんですか?」

丁寧語だ。

「それは……癖で……必要最小限のスペース……」

「必要をどう決めるか訊いたんですが。そのうち、追々に。六〇とか七〇でも」

毛布を畳みながら

「どうしてうちに?」

「……メジャーじゃないところ……で……」

「預かります。売りますか? うちが買い取ってもいいですか?」

「お任せします。あの、返してくれて構いません」

「それじゃ何しに来たかとなる」