さて、政府の緊急事態宣言も、全国で解除された。これからは、新型コロナウイルスと共存しながら社会と経済を回していかなければならない。国民の活動水準を高めるには、行動の制限を必要最小限にすることが求められる。ここで重要なのが、科学的知見を正確に理解し、行動することである。

具体的に言えば、「3つの“密”を避ける」という心得のうち、「密閉」は閉鎖空間だけに当てはまる。「密集」は多くの人が集まる場所に限られる。これら2つの“密”は、主に飛沫核感染の防止を想定した行動様式だから、ウイルスが3フィート以上移動する以上、1メートル間隔を空けるだけでは不十分である。

恐らくCDCは、こういう配慮に基づいて3フィートの2倍の6フィートを、ソーシャル・ディスタンシングの基本としたのだと推察する。

結局、「3つの“密”を避ける」戦略の基礎にあるのは、最後の“密”、即ち「密接」であるという事が炙り出されてくる。

先に見たように、3フィート離れれば飛沫感染は防げるのだから、「密閉」空間のライヴハウスや屋内イベント、「密集」場所の交通ターミナルや商業施設などを除けば、6フィートも距離を置く必要はない。「開放」された「離散」場所であれば、3フィート空ければよいのである。

こう確信すると、日常生活はぐっと楽になってくる。身長180cmの私の場合、手を伸ばせば約80cm先まで届く。これを距離を測る道具として使うのだ。

例えば、混雑する夕方にスーパーに買物に行き、床に並ぶ位置の指定がある場所よりレジ待ちの列が長く伸びても、戸惑うことはない。「前へ倣え!」の要領で両手を揃えて伸ばし、前の客に触れない程度に距離を取れば良いのだ。実に簡単で分かりやすい。

皆さん、自分の頭で考えて行動しましょう。これから自分の行動をどう“変容”させていくかは、個人の置かれている環境により千差万別である筈です。

ただ、必要以上に感染を怖がり自宅に籠り続けてストレスを溜める毎日は長続きしません。そうかと言って、飛沫感染の危険性が高い場所で、3フィートの距離を取らずに活動して感染しては元も子もありません。

思考放棄をせず、粘り強く最適な行動様式を探し続けましょう。最新の正確な情報を手に入れ、合理的に考え、主体的に毎日をデザインしようではありませんか。