巡礼 二本松

私が最初に二本松を訪れたのは、4月の下旬であった。

東北本線の本宮駅で電車を降りて、昔の奥州街道と思われる道を進み、2時間ほど歩いて正法寺の集落を抜けると、田圃の広がった先に大壇口の丘が見えた。道の右手を並行して走る東北本線の線路が、少年たちの籠った丘の裾を削り取っているようである。

道がやや登り坂となった所で右手の小さな踏切を渡って丘に取り付く。何本もの桜の木が盛んに花びらを振り撒いている中を行く。丘の上からしばらく南の正法寺の集落の方角を見つめる。

この丘に立つ少年隊についての説明板では、「少年隊63名のうち22名が大壇口に出陣、戦死16名、戦傷6名」となっていた。

丘を下りて元の道に戻り、北へ進み二本松の市街地に入る。と、かなり高い東西に延びる山が横たわって、行く手を遮る。かつてはこの山の手前が商人の街、山の向こう側が武家の屋敷街であった。まさに城を守る天然の大要害である。

しかし今回の戦いには全く用をなさなかったであろう。新政府軍の兵士は東方から山の裏側に入り込んでしまった。行く手を阻まれて左へ進むと藩侯たちの菩提寺に至る。