国を譲るとは

戦国武将(ぶしょう)(くわ)しくなってきたと思えば、もっとさかのぼって古事記(こじき)挑戦(ちょうせん)した息子。面白い神々がたくさん出てくるのだから、(たし)かに子ども心をくすぐるのかも知れない。

子「オオクニヌシノミコト(大国主命)って、すごいの? 弱いの?」

父「弱いってどういうことよ」

子「タケミカズチノカミ達が()りてきて、日本を(ゆず)れって言われて、いいですよって」

父「あぁ……争い事が(きら)いなカミだったのかも知れないけど、自分の二人の子どもに()いてくれって言ったんだよね。で、うち一人は力で(おど)されているよね(苦笑)」

子「いやいや(ゆず)ったのか」

父「まぁね……でも(ころ)し合いなどせずに(ゆず)られた良い話ってことで。あれ? そういえば国を(ゆず)るってもう一度あったね」

子「戦争に負けた時?」

父「いや、それは(ゆず)ってない(苦笑)。明治維新(いしん)の際の大政(たいせい)奉還(ほうかん)

子「よく分からないな」

父「厳密(げんみつ)に言うと、国を(ゆず)ったというより、権力(けんりょく)天皇(てんのう)にお返ししたということだけど、今持っているとてつもない力を、戦争もしないで手放すってのが信じられない」

子「二度あることは……」

父「歴史(れきし)()り返すとしたら、次に強大な力を自ら手放す人は(だれ)だろう……?」

子「安倍首相?」

父「いや、そんな小さなことじゃなくて。もう安倍さん辞めているし」

子「じゃあトランプ……」

父「好きだね、トランプ(笑)」

お父さんのひとりごと

世界の歴史(れきし)は、血の歴史(れきし)とも言えるくらい戦争ばかりでした。国家が無血で(ゆず)ゆずられるなど奇跡(きせき)に近いことと言えます。そんな物語が建国の神話として語り()がれている日本は、平和の国そのものではないでしょうか。

古事記(こじき)は読み物としても大変興味(きょうみ)深いので、是非(ぜひ)お子さんと共通の話題にしてみてください。