昔の僧侶

友達と遊ぶ時間以外は、家で本を読む機会が増ふえたようだ。少々大人向けの本にも手を出している。特に日本の歴史に関心があるらしい。読書もいいが、学校の宿題は日記以外もしっかり手を付けているのだろうか……。

子「昔のお坊さんて、今のお坊さんとずいぶん違うね」

父「どう違うの」

子「お坊さんも武器を持って戦ったり、すごく商売に熱心だったり」

父「あぁ、信長の本を読んでいたもんね。だいぶ今と印象が違うよね」

子「本当は今もお坊さんは怖い人なのかな」

父「昔の話だよ。仏の道を教えてくれる人だから」

子「仏様はもっともっと大昔の人でしょ? そこは変わってないのに、それを伝える人は変わったってことか」

父「厳しいね(苦笑)。大昔の仏様って、お釈迦様のことだよね。お釈迦様も家族を捨てて修行したと言われているので、そこはどうなのって思うけど(笑)」

子「宗教ってよく分からない」

父「難しいよね。特に○○教、○○宗ですって言えなくてもいいのよ。お父さんも別に無いし」

子「でも神社で手を合わせるよね。神社教?」

父「夏休みに行った靖国神社では、戦争で亡くなった人達に手を合わせたのよ。初詣では、おまえが今年も元気でありますようにとか、会社がうまくいきますようにとか。誰かが亡くなればお寺で手を合わせる。もっと言うと、みんなクリスマスではしゃいでるし、ハロウィンだって、バレンタインデーだって、もう何でもありだよね」

子「日本は神様がたくさんいるんでしょ?」

父「亡くなった人はみんな神様。で、動物も植物もお水も神様。世界の宗教の神様も神様。神様だらけ」

子「どこに手を合わせたらいいか分からないね」

父「普段は意識する必要がないってことよ。友達や、身の回りの自然を大切にしていれば、神様に手を合わせているのと同じ。それも日本型の宗教だということ」

子「なんか屁理屈に聞こえる」

お父さんのひとりごと

宗教とは子どもにとって理解しにくい概念だと思います。人それぞれ、国それぞれ、民族それぞれ。時には人を救い、時には戦争も引き起こしてきました。なぜ人間は宗教を生み出し、いまだに大きな力を持っているのか。宗教が無くなったらどうなるのか。皆さんのお子さんの目には、宗教がどう見えているのか、是非教えてほしいです。

想像してみよう

お寺も神社もない、神様も仏様もいない。天国も地獄も無い。もし、そんな世界になったら……?

※本記事は、2021年9月刊行の書籍『親子で語りたいテーマ24』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。