事業者クラス分け評価制度とは

これらの率直な疑問点等は、筆者が省エネルギー・エネルギー管理支援事業者としてさまざまな営業現場を廻ってきた時に得た実感です。また、提出が義務づけられている定期報告書等の内容から、「事業者クラス分け評価制度」というものがあります。

そこでは事業者をS(優良事業者)・A(一般事業者)・B(停滞事業者)・C(要注意事業者)へとクラス分けをします。Sクラスの事業者は、優良事業者として経済産業省のホームページで公表されます。一方、Bクラスとして省エネが停滞していると判断された事業者は、エネルギー消費原単位等の推移を確認するため「立入検査」「工場現地調査」が行われる場合があり、さらに要注意事業者となったCクラスでは、立入検査の時点で指導等が行われます。

[図表1]事業者クラス分け評価制度
[図表2]事業者クラス分け評価制度

資源エネルギー庁が公開している最新の事業者クラス分けの結果を図表1、2に示します。このデータから分かるように、すでに5年以上前から、Sクラス事業者が約11400社ある対象事業者全体の6割近くなっております。

この事実は、これはSクラス基準が甘すぎるのではないか、あるいはもうこれ以上の余地がなく本当に「絞り切った雑巾」状態なのか、つまり、本当に省エネルギー・エネルギー効率化が進んでいるのかどうか、まだ余地があるのかないのかなど、現場での実態がよく分からない状態となっております。

※本記事は、2021年9月刊行の書籍『データドリブン脱炭素経営』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。