5.まとめ

❶Ⅰa群

抗不整脈作用が強い代わりに催不整脈作用も強く、心室頻拍等の心臓系副作用の項目が多くなっています。Ⅰa群は膵臓β細胞のATP感受性Kチャネルに少なからず抑制的に働きかけるため、インスリン分泌を促し(スルホニルウレア系と同じ作用)、低血糖を引き起こす副作用を持っています。この特徴は他の抗不整脈薬では見られません。同じKチャネル阻害薬のⅢ群アミオダロンでは低血糖の報告がないので、Ⅲ群はATP感受性Kチャネルを阻害しない可能性が高いでしょう。Ⅰa群は抗コリン作用が強いとされていますが、それを反映するようにジソピラミドでは抗コリン作用に基づくと思われる麻痺性イレウスや緑内障悪化の発症が記載されています。

❷Ⅰb群

心抑制作用もⅠ群の中では弱い位置付けを反映してでしょうか、心臓関連副作用の項目数がⅠ群の中では最も少なくなっています。その一方で、メキシレチンは心臓以外の副作用が多岐にわたり、特にアレルギー性の皮膚疾患や中枢神経系への薬理作用がらみと思われる幻覚や錯乱の報告があります。

❸Ⅰc群

Ⅰ群の中では最も抗不整脈作用が強く、Ⅰa群と同様に催不整脈作用も強いためか心臓に関連する副作用項目数が多くなっています。心臓以外の重大な副作用は、他のⅠ群と比較すると少ない印象があり、Ⅰc群は心臓への選択性が高い薬と言えそうです。

❹Ⅱ群

致死的になりそうな心室への悪影響は少ない内容になっていますが、βブロッカー特有の呼吸困難などの呼吸器系への影響が見られます。

❺Ⅲ群

毒薬指定のアミオダロンは致死的な心臓への副作用もさることながら、肺への副作用が特徴的と思われます。また、甲状腺機能低下症も高頻度(7%)で認められます。この副作用は、末梢組織における弱活性型甲状腺ホルモンT4から強活性型ホルモンT3への変換を阻害するためとされています。

❻Ⅳ群

ベラパミルは心臓選択性Caチャネル拮抗薬で上室性不整脈の適応を持っています。その関係かもしれませんが、致死的になりかねない心室への副作用(細動、頻拍)の記載はありません。

ベプリコールはCaチャネル拮抗作用以外にNaチャネルやKチャネルの抑制作用もあるため、心室性、上室性双方の不整脈に適応を持つ一方で、致死的となりかねない心室関連の副作用の記載があります。

以上のように重大な副作用を薬剤ごとに並べて比較することで、抗不整脈薬の特徴を大まかにでも捉えられると思います。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『知って納得! 薬のおはなし』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。