(4)主な局所麻酔薬の構造共通性

局所麻酔薬に分類される薬には構造に共通性が見られ、次のような構造体をとります。

 

さらに代表的な局所麻酔薬の構造や特徴を表8にまとめました。

表8

(5)最後にオキセサゼインの特徴について

オキセサゼインの適応は胃炎、胃・十二指腸潰瘍等に伴う疼痛など消化器症状の改善にありますが、主たる作用は局所麻酔作用です。

本薬は吸収されてからではなく、ガストリン分泌細胞の刺激部位である胃内腔に突起している微絨毛を直接麻酔することで飲食物による刺激感受性を低下させてガストリン(※)分泌を抑制し、また粘膜面の神経受容体を介する上行性刺激をブロックするとされています。これは明らかにNaチャネル阻害作用と考えてよいでしょう。

一方でプロカイン等ではpH3以下では効力を発揮しないとされます。それは胃内ではイオン型比率が高く胃周囲にある神経細胞への吸収を妨げているためと推測されます。

オキセサゼインのpKaは他剤より低い6.3で、他薬よりは非イオン化体が多く、その吸収量が多そうです。それでも胃酸の影響は強いと思われるので、制酸剤と併用すれば少しでも吸収アップにつながりそうです。

一方で肝心の作用部位でのイオン化体比率は少なくなると思われるので、せっかくたくさんの薬が吸収されても、どれだけ効果が期待できるのかという疑問が新たに生じてきます。

オキセサゼイン錠はある程度の効果は期待できそうですが、結局のところ一般用医薬品レベルの薬といったところでしょうか。

(※)ガストリン:胃酸分泌を促すホルモンの一つ。

(6)まとめ

ここで紹介した表面麻酔薬は一般に飲むと吸収されない薬が多く、オキセサゼインは例外的な薬になります。その他の薬は、外用薬や注射薬の形で表面麻酔薬として利用される場合が多いです。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『知って納得! 薬のおはなし』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。