独りと孤独

人は誰しも、大切にされた記憶は忘れません。私は西日を浴びて夕ご飯の支度をしてくれた祖母の背中が、脳裏に焼きついています。

独りになるのは否定しませんが、孤独にならないでください。孤立する前に、見栄や意地を忘れてなにが大切か考えてください。どんなかたちで最期を迎えるのか、それは当人にもわかりません。血縁がいないのなら、意固地にならずに触れ合える方と仲よくしてください。いつどこで誰に助けられるか、それもまたご縁なのです。

有名人のクラウドファンディングに、想定外のお金が集まると聞いたことがあります。あなたと関係のない、有名人の思いに共感することも自由ですが、そのお金は本当に使ってしまってよいのですか?

お子さんが自分になにもやってくれないと決めつける前に、まず親から心を開いてみませんか。孤独の殻に閉じこもる前に、納得して人生を終わる努力をしてみませんか。孤独にならないことを自分だけで考えているより、お子さんに心を開いて話してみたほうが案外解決が早いかもしれません。

超少子高齢社会の昨今、親と子が互いに歩み寄れば防げる理不尽がたくさんあります。アタマもキモチも柔らかく、相容れないと思っても、一度相手の意見を噛み締めてみませんか。「ありがとう」といったら、「ごめんね」と返ってくるかもしれません。

他人と違っていてもいいんです。法律に抵触すること以外については、もっと自由になりませんか。

※本記事は、2021年8月刊行の書籍『花びらは風にのって』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。