2.腎臓でのβ1受容体刺激作用と想定される悪影響

レニン分泌増加によりアンジオテンシンⅡが増加して血管収縮からの高血圧、さらにアルドステロン分泌増加により浮腫の発症。

3.脂肪細胞でのβ受容体刺激作用

脂肪細胞ではβ3受容体が主に発現しているが、β1、β2受容体も関与するとの薬理学の本もある。中性脂肪の分解が促進して、脂肪酸とグリセリンへ変化させる。

β遮断薬は中性脂肪分解を抑制する。脂肪代謝は合成と分解のバランスで成り立つので、分解の抑制は脂肪代謝のバランスを狂わせ脂質異常症を引き起こす可能性がある。

4.気管支のβ2受容体刺激作用

気管支拡張に作用するので喘息治療に有用である。気管支には交感神経の直接的支配がないので、気管支拡張には副腎髄質由来のアドレナリンが主に関与する。

5.末梢血管のβ2受容体刺激作用

末梢血管拡張で臓器への循環改善に有用だが、ノルアドレナリンには受容体選択性がありα1≒β1≫β2となっている。つまりα1刺激の血管収縮が優位となるため実際には血圧を上げる。

6.肝臓でのβ2受容体刺激作用と想定される悪影響

糖新生促進やグリコーゲン分解促進の結果はブドウ糖を増加するため、血糖値を上げる。

β遮断薬は糖新生を抑制する。糖質代謝はブドウ糖の新生と分解のバランスによるので、ブドウ糖新生の抑制は糖質代謝異常をきたす可能性がある。

7.筋肉でのβ2受容体刺激作用と想定される悪影響

グリコーゲン分解促進は血糖値を上げる。低血糖時の前兆症状としての振戦はアドレナリンとノルアドレナリンの分泌亢進による。気管支拡張薬のβ2刺激薬メプチン錠Ⓡ等では低K血症の重篤な副作用があるが、これには細胞内へのKイオン取り込み亢進が関与している。

8.膀胱平滑筋のβ3受容体刺激作用

交感神経亢進時の蓄尿作用に関与する。過活動膀胱治療薬のベタニスⓇとベオーバⓇはβ3刺激薬である。