雑草の有用性

雑草の中には人の役に立つものがあります。まず、薬用になる雑草です。センブリやイチヤクソウをはじめ、多くの薬用植物が人の生活圏からやや離れた里山に生育していますが、身近な場所にもイタドリ、ドクダミ、タンポポ、ヨモギなど、薬草として利用される雑草が生育しています。

イタドリの和名は「痛みを取る」に由来し、鎮痛剤になるだけでなく若芽は食用にもなります。ドクダミの別名は十薬で動脈硬化から利尿まで、さまざまな効能を示すことから名付けられました。

セイヨウタンポポは明治初期に北米から野菜としてわが国に導入された植物で、根はタンポポコーヒーになり利尿作用があります。カフェインを含まないことから子供や妊婦用に重宝されています。

また、ヨモギは草餅として食されますが、その理由はヨモギの芳香や薬効だけでなく、「艾(もぐさ)」の原料になる葉裏の軟毛と関係しています。軟毛があるからこそ餅や米粉と良く混じりますが、これがホウレンソウだったら均一には混じりません。

そして、写真に示した有吉佐和子の小説の「華岡青洲の妻」に登場するチョウセンアサガオです。別名が曼荼羅華あるいは気違い茄子と呼ばれるナス科の一年草で、この植物から世界初の乳がん手術に用いられた全身麻酔薬が作られました。もの凄く不快な匂いがし家畜も嫌うことから、世界中で問題になっています。

[写真]シロバナチョウセンアサガオ(Datura stramonium L.)(小笠原)