C・Eさんは、最初からプライベート出産をしようと決めていたのではなく、自宅で出産をするために専門家である医師、助産師に相談し、どのようにすればより安心・安全に出産できるかアドバイスをもらおうとしたのです。ところがその相談は、受診拒否という形で跳ね返ってきました。C・Eさんにとってそれはまさかの対応でかなりのショックな出来事でした。

医師は開業助産師に相談させるべく紹介状を書きましたが、C・Eさんは助産所でも相談できず不快な思いをし、さらに保健師にも理解が得られず、医療者に対しても行政に対しても信頼を失ってしまいました。その後、自宅から1時間半以上かかる場所に自宅出産専門の助産所があるので念のため相談したものの、引き受けてもらうことはできませんでした。

開業助産師が出産を扱う場合には『助産業務ガイドライン』を遵守しなければなりません。このガイドラインでは、助産師には原則として自宅出産は移動に1時間以上かかる場合は取り扱ってはいけないことが定められています。そして知人が救急車の中でお孫さんを取り上げたという事実を知ったことが決定打となっていました。プライベート出産の選択には医療者の対応が影響します。

※本記事は、2021年9月刊行の書籍『私のお産 いのちのままに産む・生まれる』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。